トヨタは2022年7月15日、同社を代表する高級車ブランド「クラウン」をフルモデルチェンジしました。16代目となる新型クラウン発表披露会の模様を速報でご紹介します。

徳川幕府は15代で終わったが…新型クラウンは16代目に進化を遂げた!

 2022年7月15日、トヨタは16代目となる新型「クラウン」を正式にお披露目しました。今回発表となった「クロスオーバー」を皮切りに、今後「スポーツ」「セダン」「エステート」と4つのシリーズを展開していくといいます。
 
 いままでにないほど他種多様なラインナップを展開していくことが明らかになった新型クラウン。幕張メッセ(千葉県)でおこなわれた発表会も、異例づくめなプログラムとなりました。

 会場の入口には、1955(昭和30)年に本格国産乗用車の先駆けとして誕生した初代クラウンから、2018年に登場した現行型(15代目)クラウンに至る歴代モデルが一堂に会し、来場者を圧倒させます。

 発表披露会はまず、15代に渡るクラウンの歴史について多くの時間が割かれました。

 壇上のトヨタの豊田章男社長は、初代クラウンのスタートについて、90年前にトヨタ自動車を創業した豊田喜一郎氏が掲げた「大衆乗用車をつくり、日本の暮らしを豊かにしたい」という思想が原点にあるといいます。

 豊田社長は次のように話します。

「戦後のトヨタにおいて、すべての挑戦は、初代クラウンから始まりました 。

 まさに、日本という国が豊かになっていく勢いを象徴していたクルマ。それが初代クラウンだったと思います」

 高度成長期から、バブル好景気に向かう昭和の終わりの1983(昭和58)年に「いつかはクラウン」のキャッチコピーとともに登場した7代目クラウン。そしてバブル絶頂期の1987(昭和62)年に登場し歴代最高販売台数を記録した8代目。

 豊田社長は「この時代、クラウンが名実ともに日本を代表するフラッグシップとなりました」とし、クラウンにとって1980年代がピークの時代だったと語りました。

 1990年代、トヨタは高級車ブランド「レクサス」を立ち上げます。高級輸入車も急速に日本での市場規模を拡大し始めた時期でもあり、一方でバブル崩壊後の不況により高級車需要が低迷していきます。

 (高級車の象徴であった)「“いつかはクラウン”の立ち位置が変わる大きな変換点だった」と豊田社長はいいます。

 そんな危機感のなか、2003(平成15)年に登場した12代目は、新開発のプラットフォームやV6エンジンなどゼロから開発され、「ゼロクラウン」のキャッチコピーとともに販売台数を取り戻しましたが、高級ミニバン「アルファード」や、レクサスの国内販売開始など、トヨタ自身が高級車の選択肢を増やす中では、人気も長続きできませんでした。

 リーマンショックで業績を大きく落とした直後の2009年に社長へ就任した豊田氏は、トヨタを支えてきた老舗ブランドのクラウン変革にも積極的でしたが、右肩下がりの勢いを食い止めるまでには至りません。

 今回発表のクラウンは16代目です。

 15代で江戸時代を終えた徳川幕府になぞらえ、豊田氏は「こんな形でクラウンを終わらせてはいけない」と決意。クラウンの原点に立ち返ることを開発チームと共有したといいます。

 初代クラウンの車両開発主査である中村 健也氏は、次の言葉を残してます。

「信念をもって人にモノを売るということは、『自分の心でいいと思うもの、本当のお客様の心が入ったもの』をつくるということ。

 自分の主張を盛り込んだクルマに乗ってもらって、初めてお客様は『面白い。乗りたい』と言ってくれる。

 そうやってクルマを世に問うことが主査の役割なんです」

 これこそが、トヨタのクルマづくり改革のキーワードとして常に発しているメッセージ「もっといいクルマをつくろう」の原点だと豊田社長はいいます。

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 発表披露会開始からおよそ20分が経過し、ようやくお披露目となった新型クラウンを前に、豊田社長は「16代目のクラウンは、日本の歴史に重ね合わせれば『明治維新』です」と宣言しました。

 新たな歴史を塗り替えるという新型クラウンは、これまでにない4つの新しいラインナップを用意することが明かされました。

 壇上には、4つのカラフルな新型クラウンシリーズが並んでいます。

 まず先行して発売されるのは、SUVとセダンを融合した「クラウン クロスオーバー」。

 続いてスポーツSUV「クラウン スポーツ」、正統派の「クラウン セダン」、機能性を兼ね備えたワゴンとSUVのクロスオーバー「クラウン エステート」を1年半の期間で順次発売していくとしています。

 また新型クラウンシリーズは、これまでの日本国内メインの車種という立ち位置を変え、世界市場に向け本格的に展開を進めていくことも明らかにされました。

 発売前から「セダンが廃止」「クラウンはSUVになる!?」と噂が先行していた新型クラウン。「それだけ注目されてきたのもそれが『クラウン』だから」と豊田社長は胸を張ります。

 はじめて新型クラウンに触れた豊田社長は「面白いね」、そして試乗した後のコメントは「これ、クラウンだね」だったといい、原点に立ち戻って開発された新型が「もっといいクルマ」に仕上がったことを明かしています。

 新型クラウンは約40の国と地域に向け、シリーズ合計で年20万台規模の販売を目指すとしています。

「『日本のクラウン、ここにあり。』それを世界に示したい」

 豊田社長は最後にこのように述べて、発表会をまとめました。