半導体不足で新車の納期遅延が続き、すぐに納車できる中古車の人気が高まっています。しかし中古車相場は高値傾向が続いており、値下がりしにくくなっているようです。お得に中古車を買う方法はあるのでしょうか。

中古車ではガソリンエンジンが主流

 半導体不足などが原因で新車の納期遅延が続いている昨今、現車があるため納期が早くすぐに乗れる中古車の人気が高まっています。

 需要が高まれば相場は高値になるもので、中古車の卸値自体が高い状態が続いており、この傾向はしばらく続きそうです。

 とはいえ、少しでも安く中古車を購入したいと思うのは当然のこと。価格以上の満足感が得られる車種の選び方や購入時期など、できる限り程度の良い中古車を安く購入するためにはどうしたら良いのでしょうか。

 中古車といっても価格はピンキリ。まずはどんな目的や用途で、どんなジャンルのクルマ、またはどれくらいの予算で購入したいのかをあらかじめ決めておくと、候補車を絞り込みやすいといえます。

 現在の市場に出回っている中古車はどんな傾向があるか、国産高級車から手頃な輸入車まで幅広く手掛ける埼玉県の中古車販売店オーナー A氏に話を聞いてみました。

「新車では最近ハイブリッド車が主流で、中古車でも特に高年式のハイブリッド車については最近とくに動きが早いようです。そんなこともあって、中古車市場は依然としてガソリンエンジンがメインで流通しています。

 もちろん国産ハイブリッドでも3代目「プリウス」や初代「アクア」など初期に普及したモデルが中古車として流通しているものの、全体としてはハイブリッドやBEV(電気自動車)が中古車で主流になるまであと数年かかると思われます」(中古車店オーナー A氏)

 新車市場では小排気量ターボやハイブリッドが主流ですが、中古車市場では燃費性能より余裕のパワーを優先させたひと世代前のエンジンがメインとなっています。

 これは市場に出回るタイムラグ(車検終了時の3・5・7年後など)が関係するのは致しかたないところ。つまりハイパワーな中古車が多い以上、どうしても燃料費を含む維持費は高くなってしまう傾向があります。

 では、実際にどんな車種やジャンルがお買い得になっているのでしょうか。いま流行りのSUVなどは狙い目なのでしょうか。

「人気のSUVを中古車で安く入手したい人は大勢いると思います。そんなSUV狙いの人におすすめしたいのが、小排気量ターボやハイブリッドモデルが登場する直前に人気だった『大排気量エンジン』搭載モデルです。

 自動車税は高くなりますし、燃費も決して良いとはいえませんが、そういった事情で敬遠されがちなため、中古車価格を安めに設定しているお店が多いんです。

 狙い目は、2000年代から2010年代あたりのSUVで、当時多かった3.5リッターV6といったエンジンを搭載するモデルです」(中古車店オーナー A氏)

 当時の大排気量エンジン搭載モデルは、たいていが上級グレード。先進安全装備や最新の運転支援技術は搭載されていませんが、サンルーフなど後から欲しくてもつけられない装備が標準でフル搭載されている車両も多く、装備に関しての不満はほとんどないそうです。

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 不人気車を狙うと安く購入できるという話を聞きますが、実際はどうなのでしょうか。

「中古車を安く購入する方法といわれている『不人気車狙い』ですが、あまり良い手法とはいい切れません。

 不人気は需要が低いため、いざ手放そうとするときに査定額がびっくりするほど安くなってしまうんです。

 それならばある程度は知名度と人気のあるモデルを選び、数年後の売却でもそれなりに査定されて、次のクルマを購入するときの足しにできるほうが良いと思います」(中古車店オーナー A氏)

メーカー系列の中古車店では他メーカーのクルマが安い!?

 購入前にどんなモデルを選ぶかは大事ですが、それに加えて購入後も安心できる中古車を選ぶというのも、トータルで考えると安く済ませる方法のひとつです。

「中古車購入で不安材料のひとつとなるのが、前オーナーがどんな乗り方をしているかがわかりにくいことでしょう。

 そこで、前オーナーがクルマをどのように扱っていたのか想定できる『記録簿』が重要になってきます。

 どれくらいの頻度でメンテナンスしていたか、トラブルはなかったのか、クルマの履歴書ともいえる記録簿が付いている中古車を選ぶというのは、けっこう大事なポイントです」(中古車店オーナー A氏)

 またA氏いわく、カスタムしてある車両も、どこでどのようなカスタムが施されたのかが把握できる中古車以外はあまり手を出さないほうが安全だといいます。

 ただし、自分が求めるカスタムの方向性に一致するパーツなどが装着されている中古車は、逆に価格以上にお買い得感も得やすいとのこと。

 確かに、のちのちカスタムしたいと考えている人にはカスタム費用を減らせるメリットはありそうですが、違法な改造を施していたり、そのままでは走行上問題あるカスタムが施された中古車もかなり多いことは注意が必要です。

 同じようにホイールが社外品に交換されている場合なども、事故歴があって交換しなければいけなかったのか、それとも趣味で交換したのかを知る意味でも、記録簿の有無は重要なポイントなのだそうです。

 搭載されるエンジンに関しては、総走行距離にも関係してくるのですが、あまり複雑な機構を搭載していないほうがメンテナンスもしやすいものです。

 とくにハイパワーターボの場合は、そのぶん足回りやボディにも負荷がかかっていることが多く、出力がよりマイルドなNAエンジンのほうが故障のリスクも軽減されるそうです。

 同じように古い直噴エンジンにも注意が必要で、クリーンさを売りとして搭載された技術ですが、実際は経年劣化で汚れが詰まっているエンジンも多いようです。

「そういった意味でも、購入後も修理やメンテナンスを任せることができるお店かということも中古車選びでは大事なポイントです。

 なかには安さだけで売りっぱなしにするお店もあり、購入してすぐに不具合や故障が発生してしまうと、そのぶん修理代にお金がかかります。

 安く買ったつもりが、結果として余計にお金がかかって高額になってしまったなんてことにならないように、中古車探し以上にまともなお店を選ぶことも大切でしょう」(中古車店オーナー A氏)

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 盲点ともいえる、裏技的な中古車の購入方法があります。それがメーカー系列の中古車販売店での購入です。

「メーカー系列の中古車は安くないでしょ?」と思うのは半分正解。裏技としては「メーカー系列の中古車店で、違うメーカーの中古車を購入すること」です。

「メーカー系中古車店では、独自の基準があり記録簿などそのクルマの前歴がわかる中古車をしっかり点検整備した上で販売しています。

 しかしメーカー縛りといいますか、自社ブランドのクルマは査定額もそれなりにつけることもあって、相場より少し高めな下取り車を販売しているケースも多いのですが、ほかのブランドの車両は査定も渋くなりがちなんです。

 その結果、車両の状態の割には安価で仕入れた分、販売価格も安くなることが多いのです。

 ほしいクルマが国産車の場合、まずは違うメーカー系販売店から探してみるというのもひとつの策だと思います」(中古車店オーナー A氏)

 たとえば、トヨタ社系列の中古車店で、日産やホンダの中古車をあえて探すということです。

 自社ブランドの車両は中古車価格の相場維持のためあまり安くはできませんが、ほかのメーカーの車両が下取りで入ってきた場合、できるだけ早く手放したいものなのだとか。

 しかもメーカー系列ならではのクオリティで整備されるので、初期トラブルの心配もあまりないといえ、これは賢い作戦といえそうです。