2022年7月に世界初公開されたトヨタ新型トヨタ「クラウン」。歴代クラウンのオーナーたちは新型についてどのような印象を抱いたのかを聞いてみました。

時代のニーズに適応した4タイプの新型クラウン登場

 2022年7月15日にトヨタ新型「クラウン」が発表され、これまでの「高級サルーン路線」に縛られない4タイプのボディを展開することが明らかになりました。

 これまでのセダンに加え、セダンとSUVが融合した「クロスオーバー」、運転しやすいパッケージでスポーティな走りを楽しめる「スポーツ」、大人の雰囲気で余裕のある走りを持つ機能的なSUVとして「エステート」が設定されます。

 今回のモデルチェンジでは、今まで培われてきた「高級サルーン(セダン)としてのクラウン」というポジションから、現在主流になりつつあるSUVやクロスオーバーにも発展させた「クラウン」という1つのブランドに変貌したとも言えます。

 新型クラウンのプラットフォームは、トヨタとレクサスの主力モデルで採用されているGA-K型を採用していますが、リア周辺は(ほかのモデルと兼用ではなく)完全な新設計のようです。

 また、新型クラウンの第1弾として2022年秋に発売されるクロスオーバーには、ふたつのハイブリッドシステムを設定。

 既存のハイブリッド(THS-II)をベースに改良された2.5リッターエンジン+モーターによるシリーズパラレル式ハイブリッドと、2.4リッターターボエンジンと「eAxle(モーターとインバーターにトランスアクスルを組み合わせた電動駆動モジュール)」を組み合わせた「デュアルブーストハイブリッドシステム」が用意されました。

 さらにクラウン クロスオーバーの駆動方式は電子制御式4WDのみ。後輪には左右の操舵機能を持たせた「DRS(ダイナミック・リア・ステアリング)」機能を採用し、これは前輪をステアリング操作すると、走行の状況に応じて反対側に後輪が舵を切ったり(逆相)、同じ方向に向きを変える(同相)ことで、旋回性能やレーンキープ、走行安定性などを向上させる機構も備えています。

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 これまでは「大排気量+FR」にこだわってきた高級サルーンが、こぞって排気量をダウンサイジングさせ、ハイブリッド化や一部EV化していますが、クラウンも例外ではなく、ハイブリッド専用かつ電子制御式4WDを主軸に置くのは時代の流れといえそうです。

 今までも、日本専売モデルとして独自の世界観を大切にしてきた「クラウン」ですが、クラス的には同じGA-Kプラットフォームを使用する「カムリ」やレクサス「ES」との差別化を図る意味でも、またユーザー層の若返りを狙う意味でも大胆な変化が必要だったのかもしれません。

クルマは良さそうだけど「クラウン」を名乗る必要ある?

 セダンという枠にとらわれない斬新な新型クラウンを見て、歴代クラウンのオーナーたちはどう感じたのでしょうか。また、次の愛車候補になるのか聞いてみました。

 13代目と14代目のクラウンを2台乗り継いできたHさん(埼玉県・50代)は、新型の先進性やスタイリッシュさは認めつつも、FRでなくなったことに戸惑いがあるといいます。

「アクセルを踏むと、後ろから押し出されるダッシュ感が好きでした。

 新型はFFベースの4WDかつハイブリッド専用ということで、クラウンが持っていた回頭性の良さが受け継がれているのかが気になります。

 ハイブリッドも進化しているようですが、13代目の最初のハイブリッドは3.5リッターエンジンが組み合わされていたので、ロイヤル系でも意外に俊足でした。

 モーターの加速性能も良いのは知っていますが、新型ではそのあたりの味付けがどうなっているのか、近いうちに試乗したいと思っています」

 15代目のクラウンにお乗りのSさん(神奈川県・50代)は、安全装備の進化には興味があるものの、まだ買い替えるほどまで気分が盛り上がっていないのだとか。

「新しいクラウンを見た第一印象は、文句なくカッコ良いと思いました。なかでもクロスオーバーは、セダンばかり乗ってきた者からすれば違和感なく乗り換えできそうです。

 フロントマスクにも15代目と通じる部分も残しつつ、明らかに進化している感じです。

 個人的には『DRS』が付いたことで、どれくらいフィーリングが違うのか興味があります」

 スタイリッシュな外観やハイブリッドシステム、トヨタセーフティセンス、アドバンスパークなどの最新装備も高評価なようですが、2人に共通して引っかかる部分があるそうです。

「価格が思ったより高額になっていないのも好印象なのですが、一番の違和感はなぜ『クラウン』の名称が必要だったのかというところです。

 別の新車種として登場し、セダンだけクラウンの名称でも良かったと思います」(15代目オーナー・Sさん)

「『カムリ』が高級化し、レクサスブランドもあるなかで、クラウンの立ち位置がかなり気になります。

 クラウンはセダンで速いからこそ『アスリート』が成立していたと思うのですが、それが『カローラスポーツ』のようなハッチバックスタイルに近くなってしまうと、今までのクラウンオーナーからは拒否反応が出そうです」(13代目/14代目オーナー・Hさん)

 セダンを守ってきた歴代クラウンのオーナーたちの反応はもっともだといえますが、新型クラウンは若い年代層には受けそうなデザインや装備ですし、たとえば親子2世代でクルマを共有する場合などは、積極的に乗り換えが進む可能性もありそうです。

 最後にもう一人、歴代クラウンのオーナーではありませんが、現在BMWの5シリーズに乗っているDさん(東京都・40代)は、輸入車からの乗り換えを検討しているそうです。

「今までのセダンという古臭い概念から解放されて、やっと市場のニーズに適合するモデルが登場する感じです。

 国産車の安全性や信頼性は間違いなく世界一だと思いますし、新しいクルマになるほど性能は向上しています。

 ただ、それだけではない、所有したい何かが足りなかったと思うのですが、それが新型クラウンは一気に数十年も先のデザインになり、洗練されて文句なしにカッコ良いです。

 40代以下の世代の新しいクラウンオーナーが増えるのは間違いないでしょう。実際、自分も新型クラウンへの乗り換えを検討しています」

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 やはりガラリと変えてきた新型クラウンには賛否両論あるようですが、しかしそれこそがトヨタの狙いなのかもしれません。

 今までのクラウンは当たり前のように進化を続けてきましたが、逆にいえば正常進化を続けてきたものの、セダンスタイルでは市場のニーズとはだいぶかけ離れてしまっていた印象がありました。

 しかし新型が発表され、良くも悪くも注目度は抜群。トヨタのフラッグシップモデルですから、装備や性能や安全性に抜かりはなく、むしろ、これまでクラウンのターゲットではなかった層からの新オーナーが続々と誕生しそうです。

 斬新だけれども若々しく刷新された新型クラウンシリーズは、販売ランキングの上位モデルになるのは間違いないでしょう。