車道は基本的に左側通行で設計されていますが、首都高には右側通行になっている区間が存在します。なぜ、左右を入れ替えたのでしょうか。

首都高で右側通行のトンネルとその理由

 日本ではクルマは左側通行が基本であり、緊急時を除いて道路の右側を通行することはほとんどありません。

 しかし首都高には、右側通行が一部存在します。なぜ右側通行になったのでしょうか。

 首都高で右側通行が採用されているのは、中央環状線の山手トンネルの大橋JCT〜大井JCT間(9.4km)です。

 2015年3月に全線が開通した山手トンネルの、最大の特徴はその長さでしょう。

 全長は18.2kmであり、道路トンネルとしては日本最長、世界でもノルウェーのラルダールトンネルに次いで2番目です。

 山手トンネルで右側通行が採用されている理由は、主に安全性や走行性を高めるためです。

 首都高の特徴の一つとして、右側合流が挙げられます。東名高速や東北道といった一般的な高速道路は、本線の左側で合流するのが原則ですが、首都高は右側で合流する箇所があり、不慣れなドライバーのちょっとしたハードルにもなっています。

 しかし山手トンネルの右側通行区間にある五反田出入口は、左側合流・左側分岐になっています。このため、右側合流・右側分岐に比べて安全性が高くなっています。

 地上を走る山手通りの分岐・合流は右側ですが、首都高はトンネルの左右を入れ替えたことで左側になったというわけです。

東京で建設が進む高速も右側通行!

 山手トンネルの右側通行は、緊急時の安全確保にも関係しています。

 長いトンネル内で緊急事態が発生した場合、非常口を通って対向車線のトンネルに避難できるようになっている場合があります。

 これが左側通行の場合、非常口から出た先が対向車線の右側(追越車線)になるため、左の路肩へは道路を横断する必要が生じますが、これには大きなリスクが伴います。

 しかし右側通行だと反対車線の左路肩に直接出られるため、比較的安全に避難できるというわけです。

 長い山手トンネルは、右側通行以外にもさまざまな安全対策が施されています。

 反対方向に避難するための非常口に加え、トンネルが上下並びなどによって対向車線に避難できない区間には、独立避難経路が設置されています。

 また、トンネル内にはカメラが100m間隔で死角なく設置されています。交通管制室が24時間体制でトンネル内の交通状況や各設備の状態を確認しているため、事故や火災などに素早く対処することが可能です。

 また、山手トンネルの大橋JCT〜大井JCT間では大型の換気場を4か所設置したほか、ジェットファンやミスト噴霧を用いてトンネル内の環境を整えています。

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 右側通行のトンネルは、首都高だけではありません。

 現在建設が進められている外環道の東名〜関越間のトンネルも、実は右側通行になります。右側通行の理由は、首都高と同様に安全な合流や緊急時の安全確保のためです。

 なお首都高 山手トンネルや外環道で建設中の右側通行区間は、片側通行分のトンネルが2本並んでいる状態なので、実際の走行では対向車線が互いに見えません。したがっていつもの左側通行の感覚で走れるようになっています。

 そのため意識することや気付くことは難しいですが、注意深く観察すると右側通行ならではのレイアウトや設備を発見できるかもしれません。