歩合給が導入されていることの多いタクシー運転手は、基本的には客を乗せれば乗せるほど収入が上がる仕組みです。そんなタクシー運転手のなかには、1000万円を超える年収を稼ぐ人もいるといいますが、その秘訣はどんなことなのでしょうか。

年収1000万円も夢じゃない? タクシー運転手は情報通!? 稼ぐ方法とは

 個人タクシーはもちろん、法人タクシーの運転手のほとんどは歩合給が導入されています。
 
 基本的には客を乗せれば乗せるほど収入が上がる仕組みです。
 
 そんなタクシー運転手のなかには、1000万円を超える年収を稼ぐ人もいるといいますが、その秘訣はどんなことなのでしょうか。

 歩合の割合などの詳細条件は、法人や契約条件によっても異なるので一概にはいえませんが、基本的にはたくさんの客を乗せれば乗せるほど、タクシー運転手の収入も増えていく仕組みとなっています。

 とはいえ、実際のタクシー運転手の収入は決して高くないのも事実です。

 全国ハイヤー・タクシー連合会によれば、2021年におけるタクシー運転手の平均年収は全国平均で280万4000円、もっとも高い東京都で336万9100円となっています。

 国税庁の民間給与実態統計調査を見ると、2020年の給与所得者の平均年収は433万円となっているため、あくまで統計上のデータを見る限りでは、タクシー運転手は「儲かる」職業とはいえないように思われます。

 一方、歩合給で働く法人タクシー運転手のなかにも、年収1000万円を超えるような人は一定数存在します。

 そのような人は、いったいどのような「テクニック」を持っているのでしょうか。

 都内のタクシー会社に勤務するある運転手は次のように話します。

「当社にも年収1000万円超えの運転手は数名在籍しています。

 そうした運転手に共通しているのは、営業エリア内の道を熟知していることはもちろん、常に無線に耳を傾け、いかにロスなく営業するかということに注力している点です」

 法人タクシーには基本的に無線が配備されており、本部(配車センター)とコミュニケーションをとりながら業務をおこなっています。

 無線からは、具体的な配車指示のほかに、現在の道路状況やユーザーの動向などといったさまざまな情報が流れてきます。

 前出の運転手は次のように続けます。

「例えば、お客さんを遠い場所まで送り届けた場合、自身の営業エリアまで帰ってきてから次のお客さんを探し始めるのが普通です。

 しかし、稼げる運転手の場合は、営業エリアに帰ってくるまでに無線情報を駆使して次のお客さんを探しています。

 営業エリアに戻ったらすぐに次のお客さんを乗せているという状態です」

 にわかには信じがたいことですが、現在の道路状況やユーザーの動向、そして営業エリアまでの移動時間を総合することで、無駄のない営業が可能になるといいます。

 タクシーには「営業収入」という概念があります。

 これは売上から消費税を引いたものであり、多くの場合、この営業収入をもとに歩合給や評価が決まります。

 前出の運転手によれば、年収1000万円超えの運転手は「月の営業収入が100万円を割ることがない」といいます。

 法人タクシーの運転手の場合、月の労働時間はおおむね160時間となるため、単純計算で1時間あたり6250円以上の営業収入があることになります。

 道路状況や時間帯にもよりますが、タクシーに1時間乗れば6000円程度の料金となるのはめずらしくありません。

 このように考えると、稼げる運転手は営業時間のほとんどを賃走(お客さんを乗せて走っている状態)であることがわかります。

都内で3本の指に入る!? 「スーパー運転手」が語る、稼ぐコツとは?

 実際に「都内でも3本の指に入るほど稼いでいる」という、あるタクシー運転手に話をうかがうことができました。

 そんな「スーパー運転手」が意識していることは、意外にもシンプルなことだといいます。

「私が意識しているのは『とにかく走ること』です。

 たしかに、ターミナル駅のタクシー乗り場に並べば、ほぼ確実にお客さまを乗せることはできます。

 しかし、待ち時間が多くなってしまうことに加え、お客さまが長距離なのか単距離なのかは実際に乗せてみるまではわかりません。

 例えば、30分待って1メーターのお客さまを乗せ、また駅に戻って30分待つという結果ならあまりに非効率です。

 もちろん、流しのお客さまでも短距離というケースがないわけではありませんが、時間帯やエリアを意識していれば、長距離のお客さまを乗せられる確率を高めるのは、それほど難しいことではありません。

 そのうえで、さまざまな情報に常に目を光らせています。

 電車が遅延したり、プロ野球の試合が延長戦に入ったりといった情報は、長距離のお客さまを乗せるうえで非常に重要なものです」

 タクシー運転手の多くは「客を乗せること」を意識するあまり、リスクの少ないターミナル駅に集中するといいます。

 しかしターミナル駅にいる客は「最寄り駅から自宅まで」という比較的短距離のケースもあり、営業収入には直結しないことも少なくないようです。

 一方、流しの客は「用事のあった場所から自宅まで」という比較的長い距離を移動する可能性も高いといいます。

 いつまでも客を見つけられないというリスクもありますが、それを避けるためには、さまざまな情報をもとにしっかり戦略を立てることが重要なようです。

 ※ ※ ※

 とはいえ、常に周囲や情報に気を配りながら、一日中流しているのは決して楽なことではありません。

 ただ、このタクシー運転手は「それは大した問題ではない」と笑い飛ばします。

「実は私、元自衛隊の隊員だったこともあり、体力には自信があります。ある有名な部隊に所属していたこともあるんですよ」

 やはり、どの業界でも稼ぐ人は少なからず秀でた部分があるのも事実のようです。