2002年に生産終了となった日産「シルビア(7代目)」。およそ20年が経過した現在でもシルビア人気は留まることを知りません。なぜいまでもシルビアは日本のみならず世界中で人気なのでしょうか。

S13はデートカー! S14&S15はスポーツカー? 人気の理由は

 およそ20年前に生産終了したにもかかわらず、現在でも、熱狂的なファンが多い日産「シルビア」。
 
 なかでも1988年に登場した5代目(S13)から2002年に生産終了となる7代目(S15)が高い人気を誇ります。なぜ20年以上経った現在でもクルマ好きを魅了するのでしょうか。

 シルビアは、1965年に初代(CSP311)が誕生した後、7代目(S15)が2002年に生産終了となるまでおよそ40年にわたって販売された日産を代表するモデルです。

 なかでも、現在でも日本のみならず世界中で高い人気を集めているのが、5代目(S13)、6代目(S14)、7代目(S15)の3世代です。

 S13が登場した1988年を含む、1986年から1991年頃には、乗用車が総体的に爆売れした「バブル期」が訪れました。

 当時は「クルマを持つのがステータス」となっており、女性を乗せてドライブデートをする「デートカー」と呼ばれるジャンルが人気を集めた時代でもあります。

 当時のデートカーといえば、ホンダ「プレリュード」、トヨタ「ソアラ」、そして日産代表してはS13が挙げられました。

 もちろん、デートカーという名は伊達ではなく、S13は、水平基調でワイドにつながるヘッドライトや、ロングノーズ・ショートデッキの近未来的かつスポーティなスタイリングから女性人気の高いモデルでした。

 また、リアサスペンションには、高級乗用車への採用が多かったマルチリンク式サスペンションを採用。

 当時の乗用車で一般的だったセミトレーリングアーム式に比べ、ロードノイズを軽減し、乗り心地の良い足回りを実現。
 
 さらに、内装では、曲線を基調にしたシームレスなダッシュボードが高級感を演出。キャビンが広いうえに、シートも柔らかく、まさに女性を乗せるのにもってこいの1台でした。

 実際に、筆者(Peacock Blue K.K.赤沼 ゆき)も、S13の助手席に乗ったことがありますが、スポーティな外装にもかかわらず、室内はまるで上質なセダンのような居住性の高さで、良い意味でのギャップを感じました。
 
 乗り込むまではシルビアに対して「スポーツカー」という印象を強く抱いていましたが、実際に乗り込めば「これはデートカーだ」と納得。

 純正シートは長時間乗車しても疲れず、室内が広々しているので窮屈感も感じずにリラックスして、ドライブを楽しむことができました。

 このようにデートカーとして優秀なS13ですが、同時期には一部のユーザーの間で、峠や環状線においてグリップ走行やドリフト走行をする「走り屋」がブームとなり、そこでもシルビアは人気を集めます。
 
 もともと軽量かつ、FR駆動のモデルとして歴史を重ねてきたシルビア。S13には、1.8リッター/2リッターの直列4気筒エンジンにターボ搭載モデル「K’s(ケーズ)」がラインナップされており、当時、まさにドリフト車両に最適なモデルのひとつでした。

 このように、S13は、デートカー、そしてスポーツカーとして、若者を中心にその販売台数を伸ばしていったのです。

 大ヒットしたS13に続いて、1993年に登場したS14は、先代からややボディサイズを拡大し、3ナンバーサイズのクーペとして発売されす。

 そのぶん、S14では、ボディが“ずんぐり”と丸みを帯びたうえに、先代に比べて重量が増したことから、走り屋の間ではやや不評な一面もありましたが、一方で、そのぶんパワーアップされており、実際の走りは申し分ない1台でした。

 筆者の友人にも若いS14オーナーは数名いますが、「S13の影に隠れてしまうことがあるけどS14は走りが楽しい」「むしろこのデザインだからS14に乗りたいと思った」「セダンのようなルックスだけど、実際は速いところが好き」と、会うたびに愛車への強い愛を語っています。

 S13ほど販売台数は伸びなかったS14ですが、当時の評価とは裏腹に、このように現在ではコアなファンもおり、シルビアを語るうえで欠かせない1台となっているのは間違いありません。

 そして1999年に登場したのが、最終型となるS15です。S14で不評となったボディサイズを再度5ナンバーに戻し、エンジンのパワーアップもおこなわれ、先代よりさらに高い走行性能をもつモデルとなりました。

 シルビアの集大成ともいえるS15は、筆者の周りでもとくに所有している人が多いモデルです。

 友人の多くは、その高い走行性能を生かしてドリフト走行を楽しんでおり、S13の頃のデートカーという印象からS15ではスポーツカーという印象が強まったことがわかります。

 さらに、S15には、発売当初からかなりの数のオプション装備がラインナップされ、内装の高級感にこだわった「bパッケージ」をはじめ、日産のカスタムブランド、オーテックからも専用のカスタムパーツが多数発売されました。

 そのため、S15は、ファンの間で、純正仕様で内外装のバリエーションが非常に多いモデルとして認識されており、希少なパーツは現在でもオークションサイトなどで高値で取引されています。

人気の理由はアフターパーツにアリ? 話題に事欠かないのも要因か?

 このように歴史を重ね、デートカー、そしてスポーツカーとしての地位を獲得してきたシルビア。

 現在人気となっている背景にも、そうした昔からのネームバリューが関係していますが、ほかにもアフターパーツの多さが重要な鍵となっています。

 かくいう筆者も、比較的年式の古い国産スポーツカーを所有しているひとりですが、ときに頭を悩ませるのが、劣化によるパーツの故障です。

 年式の古いクルマを所有していると仕方のないことですが、いくらメンテナンスをしっかりしているとはいえ、各パーツの経年劣化は避けられません。

 一般的に、劣化によってパーツが故障してしまうと、新しいパーツに交換することになります。

 しかし、生産終了から年数が経過したモデルでは、パーツの生産も終了され、そう簡単に新品パーツが手に入らないことがあります。

 その点、シルビアは各パーツメーカーがアフターパーツを開発・生産・販売しているケースが多く、「パーツがなくて修理できない」という事態まで発展することは基本的にありません。

 年式の古いクルマを所有するうえで「壊れても直せるか」や「金銭的に維持がしやすいか」という点は、長く乗り続けることを考慮すると非常に重要となります。

 購入できるパーツが豊富にあるということは、そのぶん、価格も比較的求めやすいことが多いため、とくに金銭的に余裕のない若者にとっては、ありがたいポイントとなります。

 実際に、2022年9月12日にマーキュリーエンタープライズは日産との2年に及ぶ交渉の末、シルビアの純正エンジンとなる「SR20DET」を30基限定で再販することを発表するなど、いまなおシルビア人気の高さが伺えるエピソードです。

 その一方で日産のスポーツカーの代表格「スカイラインGT-R」も、アフターパーツなどは多く展開されていますが、海外市場での人気も白熱していることなどから、もはや若者が手を出せるような金額のシロモノではなくなっています。

 このように、シルビアはコスパ良く、比較的長く楽しめるスポーツカーとなっており、そうした点がシルビアが現在でも人気であり続ける理由です。

現在でも人気の根強いシルビアは、クルマ好きの間でその復活が常に望まれています。

 そうしたなかで、生産終了から20年を迎えた2021年秋に日産欧州法人は「もしEV化した新型シルビアが存在したら」というテーマでのデザインを公開。

 これについて、欧州日産のデザイン担当バイスプレジデントであるマシュー・ウィーバー氏は「初代シルビアをモチーフに、EV化した新型モデルをデザインした」と説明していました。

 シルビア生産終了後、日産は「次期型シルビア」を示唆するコンセプトモデルを何度も公開してきましたが、8代目となるシルビアの市販化には至っていません。

 果たして「シルビア復活」の可能性はあるのか、多くのファンが注目しています。

 こうした、アフターパーツ市場や日産からの匂わせ、SRエンジンの再販など生産終了からも常に話題を提供し続けていることが「シルビア人気」最大の理由といえるかもしれません。