昨今では、半導体などの部品不足が慢性化している影響から、新車の長納期化が著しい昨今、納期の見通しが立ちやすいこともあって中古車の需要が高まっています。現在、中古車市場ではどのようなモデルが人気となっているのでしょうか。

いま、中古車を買う人が求めるモノとは?

 半導体などの部品不足が慢性化している影響から、新車の長納期化が著しい昨今、納期の見通しが立ちやすいこともあって中古車の需要が高まっています。
 
 現在、中古車市場ではどのようなモデルが人気となっているのでしょうか。

 最近は、ウクライナ危機や新型コロナウィルス感染症のまん延などによって、半導体をはじめとした部品の不足が深刻化しています。

 これにより、新車の生産が滞り、納期の長期化が著しく進んでいます。モデルにもよりますが、人気モデルの在庫車はどの自動車メーカーにおいても皆無であり、半年から1年以上の納期を要することがめずらしくなくなっています。

 そのようななか、「いますぐにクルマが欲しい」という事情があるユーザーは、納期の見通しが立ちやすい中古車を購入するという選択肢をとるケースも増えているようです。

 では、需要の高まっている現在の中古車市場では、どのようなモデルが人気となっているのでしょうか。

 全国展開している中古車販売店の担当者A氏は、以下のように話します。

「現在、中古車市場で売れているモデルとしては、トヨタ『ヴォクシー』や日産『セレナ』、ホンダ『フリード』、トヨタ『シエンタ』などが人気な傾向があります。

 また、トヨタ『ヤリス』やホンダ『フィット』も比較的売れ行きが順調です。

 いずれのモデルも、価格が安い個体よりも、価格は高くても高年式の状態の良いものが好まれています」

 トヨタを代表するミニバンのヴォクシーは、2022年1月にフルモデルチェンジがされたこともあり、先代が中古車市場に多く流通しているといい、セレナ、フリード、シエンタも定番のミニバンであり、流通台数の多いモデルです。

 また前出とは別の首都圏の中古車販売店のB氏は「中古車市場のミニバンではトヨタ『エスクァイア』の問合せを頂くことが多々あります。新型『ノア/ヴォクシー』に変わるタイミングで生産終了となりましたが、もう手に入らないというプレミアム感。そして迫力のあるデザインや中古車故の手の届きやすさなどにより、注目されているようです」と話しています。

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 中古車市場では、流通数が多ければ多いほど価格競争が働くため、そのモデル全体の相場価格は下がる傾向があります。

 結果として、流通数の少ないモデルに比べて、価格と状態のバランスが良い「お買い得」な中古車となることが多いようです。

 もちろん、これらのモデルは新車の時点でかなり人気の高いモデルであるため、そうした部分も影響していると考えられますが、やはり流通数が多いという点は、中古車市場における人気を図るうえでは重要な要素となっているといえます。

中古車を選ぶメリット、いまは「安さ」よりも「早さ」に

 新車の長納期化により、中古車販売店に訪れるユーザーの傾向にも変化が見られるようです。

 前出とは別の首都圏の中古車販売店のC氏は次のように話します。

「これまでは、中古車を選ぶ人のほとんどが『新車で購入することができないモデルを求める』か『新車を購入する予算がない』という人でした。

 しかし、現在では『新車より早く手に入るから』という人が増えています」

 すでに絶版となった旧車を求める愛好家を別にすれば、中古車を選ぶ第一の理由は、その価格の安さにあるというのがこれまでの常識でした。

 実際、100万円以内で購入できる新車は数えるほどしかありませんが、中古車であれば、さまざまなモデルを選ぶことができるほか、状態を別にすれば、30万円以下で購入できる個体もあります。

 続けてB氏は、「早納車」を望む人について次のように続けます。

「『新車より早く手に入るから』という理由で中古車を選ぶ人は、コストを最優先しない傾向があります。むしろ、できるだけ新車に近い高年式の状態の良い個体を選ぶ傾向があります。

 クルマを早く手に入れなければならない事情はお客さまによってさまざまですが、子様の送迎や仕事で必要という場合には、予算よりも納期のほうが優先という場合も少なくありません。

 高年式のものであれば、機能や装備も必要十分であり、故障のリスクも高くありません。

 また、日常使いで用いられることがほとんどであるため、目で見てわかる傷や汚れがない限りは『中古車である』という点を気にされる人も少ないようです」

 一方、現在の中古車相場に対して不満を感じるユーザーも一部にはいるようです。

「『中古車=安い』という従来のイメージを持たれている人のなかには、現状の中古車相場に驚かれる人もいらっしゃいます。

 私どもとしても、現在の相場はかなりの異常事態であるとは考えていますが、そもそも中古車価格は、仕入れ費用に一定の手数料を加えるなどして機械的に決まることがほとんどなので、流通量の多いモデルであれば、意図的に価格を釣り上げるようなことはまず不可能です。

 新車の納期が長期化している昨今では『早く手に入る』ということは付加価値としては十分です。中古車を検討される人には、そのことを理解いただきたいと考えています」

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 トヨタ「アルファード」や「カローラクロス」などの一部のモデルでは、中古車価格が新車価格を上回るという異常事態が発生しています。

 限定生産の希少車などであれば、そもそも中古車市場への流通量が少ないため、売り手の付けた価格が「相場」となることはあります。

 しかし、アルファードやカローラクロスはあくまでも量産車であり、本来であればプレミア価格が付くようなことは考えにくいモデルです。

 一方、流通量が多いモデルに関しては、需要と供給のバランスによって相場価格が決定されるという、いわゆる「神の見えざる手」が働きます。

 その場合、相場価格を超えた価格設定をしてしまうと、単純に割高になってしまい売れる可能性は限りなく低くなってしまいます。

 つまり、恣意的な「ボッタクリ価格」は付けにくいということになり、現在の価格はあくまで需要と供給のバランスにもとづく「適正価格」ということになります。

 このように考えると、現在中古車を選ぶメリットは「価格が安いこと」よりも「早く手に入ること」にあるというように、これまでの考え方を変える必要がありそうです。