軽自動車は扱いやすくて経済的ですが、その一方で軽であることを嫌がる人も多いようです。そんななか軽のナンバープレートにある変化が起こっています。

軽自動車のナンバープレートはちょっとズレて配置されている

 新車販売の約4割を占める軽自動車は、扱いやすいコンパクトなサイズで車両本体価格や維持費も安く、新しいモデルは優れた運転支援システムなどの最新システムが搭載されるなど、人気を高めています。

 その一方、軽自動車であることを嫌がるユーザーもおり、ナンバープレートにある変化が起こっています。

 従来の軽自動車は、車両前面のナンバープレートが運転席側にオフセットされて配置されていましたが、最近は登録車と同じように中央に装着するモデルが登場しています。これはどういうことなのでしょうか。

 軽自動車はコンパクトなボディであることから、ボンネット内のスペースも狭く、エンジンやミッション、補機類などがぎっしりと収められています。

 そして、エンジンを冷却するためのクーラントを冷やす装置としてラジエーターもボンネット内にありますが、軽自動車はスペースの関係上、助手席側に寄せて配置されています。

 そのため、ナンバープレートを中央に取り付けると走行風がラジエーターに当たりづらくなってエンジンを十分に冷却できなくなることから、ナンバープレートを運転席側に装着するモデルが多いのです。

 日本でいちばん売れているホンダ「N-BOX」は2020年12月にマイナーチェンジを実施。そのときに、カスタム仕様の「N-BOX カスタム」のナンバー位置を、それまでの運転席側から中央へと変更しています。

 これについてホンダは次のように説明します。

「軽自動車だからナンバープレートの位置が中央じゃないということを気にするユーザーも多く、N-BOXカスタムはマイナーチェンジを機に中央に移動しています。

 バンパーの形状を変更することで、ナンバープレートを中央に配置してもラジエーターを冷却できるようになりました」

 また、ナンバープレートを中央に配置するとデザインが左右対称になり、ユーザーとしても受け入れやすいといいます。

 とくにカスタム仕様のユーザーはデザインにこだわりがある人が多く、ナンバープレートの位置について要望が上がっていたとのことです。

 ちなみに、標準仕様のN-BOXのバンパーのデザインでナンバープレートを中央に配置すると冷却効果が十分に得られないことから、従来通り運転席側のままとなっています。

 ホンダの軽自動車として「N-ONE」もありますが、こちらは2012年に登場した初代モデルから現行の2代目モデルでもナンバープレートは中央に装着。

 デザイン面な見栄えを考慮したことや、N-BOXよりも車両重量が軽いためにエンジンの熱放出量も抑えられることから、ナンバープレートを中央に配置することが可能になりました。

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 日産の軽自動車では「デイズ」と「ルークス」のナンバープレートが中央に配置されています。

 日産の販売店スタッフは「ナンバープレートの位置に対してこだわりのある人は意外にも多く、そういった人にデイズやルークスは好評です。なかには、他メーカーのクルマのほうがデザインが良くても、ナンバープレートの位置が気に入らなくてデイズにしたというお客さまもいらっしゃいます」といいます。

 なお、日産は三菱と軽EVを共同開発しており、日産「サクラ」、三菱「eKクロスEV」として販売していますが、エンジンを搭載しないEVなのでラジエーターが必要なく、ナンバープレートも中央に配置されました。

白ナンバーに変えたい軽ユーザーがかなり多い

 軽自動車のナンバープレートのもうひとつの変化が「白ナンバー化」です。

 登録車は白いナンバープレート、軽自動車は黄色いナンバーが装着されるのが基本でしたが、ラグビーワールドカップの特別仕様ナンバープレートの交付が2017年に開始され、軽自動車でも白いナンバープレート(実際には小さなロゴ入り)が装着できるようになったのです。

 前出の日産販売店スタッフも「ラグビーワールドカップの特別仕様で軽自動車が白いナンバーを装着できましたが、あれ以降『白くできないのか』という問い合わせがかなり増えました」とコメントしており、軽自動車で登録車のような白いナンバープレートを装着するクルマが増加しました。

 国土交通省によると、ラグビーワールドカップの記念ナンパ―プレートの申し込み総数は29万2501件だったといいますが、登録車が3万7540件に対して、軽自動車は25万4961件と、軽自動車が約87%も占めていました。

 そのなかでも、右上に小さいラグビーワールドカップのロゴが入った、シンプルな「寄付なし図柄」の申し込みが全体の7割以上を占めるなど、ナンバープレートをシンプルな白にした軽ユーザーが多かったことがわかります。

 加えて、2020年に開催された東京2020オリンピック・パラリンピックでも特別仕様ナンバープレートを交付。新型コロナウイルスの影響により2021年に開催が延期されたことにともにない、記念ナンバープレートの交付も延長されています。

 受付が終了した2021年9月30日までの累計申請件数は合計289万4374件。軽自動車が267万7242件と92%を占めるほか、そのうちの94%がロゴのみのほぼ白いナンバープレートを選択。登録車のように見える軽自動車が急増しました。

 軽自動車購入時に営業マンに進められて白いナンバープレートを装着したユーザーに話を聞きました。

「軽自動車は便利で乗りやすいのですが、やはり登録車に対しての気後れは若干あります。それが白ナンバーになることでだいぶ軽減された気がします。

 また、軽自動車は合流で入れてもらえないとか、後ろからあおられるといったネガティブな話を聞いていたのですが、いまのところはそういった経験をしておらず、これも白ナンバーのおかげかもしれません」

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 中央に配置されたナンバープレートや特別仕様の白いナンバープレートにより、軽自動車と登録車の区別がなくなってきているようです。

 なお、ラグビーワールドカップとオリンピックの記念ナンバープレートはすでに終了しており、白いナンバープレートを装着することはできなくなりましたが、新たな全国版図柄入りナンバープレートが2022年4月18日から交付開始。

 全国47都道府県の花をモチーフにしたイラストを採用した図柄で、モノトーンとフルカラーが用意されているのですが、区分を明確化させるために、一般的な登録車は枠なし、事業用登録車(商用車)は緑色の枠取り、軽自動車は黄色の枠取りが施されます。

 2022年6月末時点での新たな全国版図柄入りナンバープレートの申込み件数は約6万7000件。そのうち約6万件が軽自動車となっており、黄色い枠がつくとはいえ、白ベースのナンバープレートを装着したい軽オーナーは依然として多いようです。