60年以上もの長い歴史を誇る日本有数の老舗ブランドである日産「スカイライン」ですが、一時は存続の危機も噂されるほど、近年は低迷を続けています。同社で国内唯一のセダン車となったなか、販売現場ではどのような評価なのでしょうか。

2022年夏に「ハイブリッド」が廃止された影響は「ほぼなかった」という現実

 1957年に初代モデルが登場して以来、60年以上という長い歴史を誇る日産のスポーツセダン「スカイライン」は、現在13代目となるV37型が販売中ですが、往年に比べると販売台数は低迷中のようです。

 そんな老舗ブランドの存在は実際のところどのようなものなのか、販売店の声を拾ってみました。

 2021年6月、経済新聞紙上に開発凍結のニュースが大々的に報じられ、それをオフィシャルの場で「スカイラインをあきらめません」と日産の副社長が否定するなど、スカイラインはいまも日産を象徴する重要なブランドのひとつとなっています。

 そんな現行スカイラインも、2014年2月の日本デビューから8年以上が経過。ラインナップの一翼を担っていたハイブリッドモデルは、2022年の夏にひっそりと販売を終了しました。

 現在は、高性能な3リッター V型6気筒ツインターボエンジン「VR30DDTT」型を搭載したモデルのみが販売されている状態となっています。

 新車の販売価格(消費税込み)も456万9400円から589万9300円と、いまや立派な高級車の域です。

 そんなスカイラインは、気づけば国内で販売されている日産の現行モデルとしては唯一の「セダン車」となってしまいました。

 過去には小型の「ラティオ」、ミドルクラスの「シルフィ」、そして大型の「ティアナ」や「フーガ」「シーマ」、そして「プレジデント」と、多くのセダンを擁していた日産ですが、最後のセダンとなってしまったスカイラインはいま、販売の現場でどんなポジションとなっているのでしょうか。

 首都圏にある日産ディーラーの販売スタッフにお話を聞いてみました。

 販売スタッフAさんは次のようにいいます。

「正直なところ、スカイラインはあまり引き合いのある車種とはいえず、ハイブリッドモデルが消滅した影響もほとんど感じられません」

 長い歴史のあるモデルで根強いファンも多いだけに、ちょっと寂しいコメントです。

 また日産の顧客のなかで、過去にセダンに乗っていたユーザーはどうなのでしょうか。

「ラティオやシルフィなどのユーザーは、軽自動車やコンパクトカーの『ノート』や『ノート オーラ』への乗り換えが中心となっています。

 またティアナのような大人しいモデルのユーザーは、電気自動車『リーフ』への乗り換えが多いです」

 話を聞く限り、そもそも「どうしてもセダンでないとダメ」というユーザー自体がかなり減っているようです。

「指名買い」の多さは老舗ブランドならではの底力か

 また、フーガやシーマといったフラッグシップモデルを保有していた法人ユーザーなども、より広い室内空間を持つ「エルグランド」などのミニバンタイプや、フラッグシップEVとなる「アリア」への乗り換えが進んでいるとAさんはいいます。

 駐車場の関係などで「どうしてもセダンではないと」というユーザーのみが、かろうじてスカイラインを選んでいるということで、意外にもスムーズな代替が行われているといった印象でした。

 逆に今でもスカイラインを求めるユーザーは、スポーツセダンとしての魅力を感じているようです。

 比較的価格帯も近いメルセデス・ベンツ「Cクラス」や、BMW「3シリーズ」といった欧州のスポーツセダンとスカイラインを比較検討するのか、前出の営業スタッフAさんに聞いてみたところ、次のように答えました。

「スカイラインは“指名買い”されるケースが多いです」

 これはちょっと意外にも思えましたが、とくに新型フェアレディZにも搭載された405PSを絞り出すハイチューン版を搭載する「スカイライン 400R」は、指名買いの多いグレードといいます。

 世界的なカーボンニュートラルに向けた動きのなか、ハイブリッドやEVなどクルマの電動化が加速的に進みつつある昨今では、現行型スカイラインは最後の内燃機関のハイチューンモデルとなる公算が高いとみられます。

 また欧州のスポーツセダンに匹敵するスペックを誇りながらも、500万円台というバーゲンプライスである点も、ユーザーからは高く評価されているようです。

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 このように、すでに登場から8年以上が経過し、決して目新しいモデルではないものの、今でも指名買いがなされるという意味では、やはりスカイラインという老舗ブランドの凄さを感じざるを得ないところでしょう。

 確かにセダンというボディタイプ自体が不人気ということで、販売面では苦戦が強いられているスカイライン。

 しかし「日産自動車はスカイラインをあきらめません」というメーカーの声にもあったように、例えスカイラインがSUV化したり、ガソリンエンジンを捨てて電気自動車になったとしても、今後もこの伝統ある名前を守り続けていただきたいと、筆者(小鮒康一)は思います。