ガソリンや軽油の価格が高騰するなか、少しでも燃料消費を抑える方法はないのでしょうか。いますぐできる方法を10個紹介します。
「エコドライブ10のすすめ」とは
昨今の深刻な円安や、さらに世界的な物価の上昇でさまざまなものの値上げラッシュとなるなか、ガソリンや軽油の価格も高値が続いています。
ハイブリッド車が広く普及して燃費が良いクルマが増えていますが、低燃費車でなくても少しでも燃料消費量を抑えることはできるのでしょうか。
燃費を改善する方法として、エコドライブ普及連絡会(警察庁、経済産業省、国土交通省、環境省で構成)がまとめた「エコドライブ10のすすめ」が有効です。
1.自分の燃費を把握しよう
自分のクルマの燃費を知らないと、どういう運転をすれば燃費が良くなるのか、あるいは悪くなるのかを理解できません。
また、日々の燃費を把握し数値として結果を知れば、エコドライブの達成感も得られ、燃費の良い運転を継続する意欲につながります。
車両に備わる燃費計やエコドライブナビゲーション、さらにスマートフォンの燃費管理アプリなどを利用して、クルマの燃費を把握することから始めましょう。
2.ふんわりアクセル「eスタート」
10回の急発進で約170cc、10回の急加速で約110ccの燃料を浪費するとされており、エンジンの高回転域を必要以上に使うことを避け、穏やかにアクセルを踏む発進を心がけると10%程度燃費が改善します。
そのため発進から5秒で時速20kmに達することを目安に、ふんわりアクセルを踏んで加速する運転を心がけましょう。
AT車の場合では、クリープ現象(ブレーキを離すと、前に進みだす現象)を上手く活用することで、アクセルを踏み込む量を抑えられます。
3.車間距離にゆとりをもって、加速・減速の少ない運転
車間距離を詰めて運転すると、前を走るクルマにあわせて無駄な加減速を繰り返すことになり、燃費が悪化してしまいます。
それ以前に、あおり運転と思われたり、事故が起きる危険もあるので、車間距離にゆとりをもち、一定の速度で走ると良いでしょう。
4.減速時は早めにアクセルを離そう
アクセルを離しても走行中のクルマは急に止まるわけではなく、しばらくは惰性で進みますが、エンジンの抵抗を利用したエンジンブレーキがかかります。
このエンジンブレーキを利用すれば燃料の消費を抑えられ、燃費が2%程度改善するとされています。
減速や停止するときは、早めにアクセルから足を離して、エンジンブレーキを上手く活用しましょう。
5.エアコンの使用は適切に
夏に車内を冷やすカーエアコンはエンジンの回転を動力源としており、エアコンを使うとエンジンに負荷がかかって少なからず燃料を消費し、場合によっては10%以上も燃費が悪化することがあります。
そのため、室温に応じて温度や風量、エアコンスイッチのON/OFFなど、こまめな調整が効果的です。
なお、暖房はエンジンの熱を再利用しているため、エアコンをONにする必要はありません。
自分のクルマだけでなく他車も気遣うべき
6.ムダなアイドリングはやめよう
停車中でもエンジンがかかっている状態(アイドリング)では燃料を消費します。
無駄な燃料消費を抑えるためにも、荷物の積み下ろしや送迎などで駐停車するときにエンジンを切りましょう。
ただし、安全性の観点から、信号待ちの停車中などにみずからの操作でエンジンを止めてしまう、いわゆる「手動アイドリングストップ」はやめたほうが良いです。
また、現代のクルマでは基本的に暖機運転は不要で、走りながら暖める「ウォームアップ走行」で十分とされており、極寒冷地など特別な状況を除き、すぐに走り出して問題ありません。
7.渋滞を避け、余裕をもって出発しよう
ストップ&ゴーを繰り返したり、長時間同じ場所にとどまってアイドリングを続ける「渋滞」は、クルマにとってもっとも非効率的な状況です。
また、道に迷って余計に走ったり時間をかけてしまったりすることでも燃料を無駄に消費してしまい、たとえば1時間のドライブで道に迷い、10分ほど余計に走行すると17%程度も燃費が悪化するといわれています。
そのため、出発前にルートや渋滞・交通規制などの道路交通情報を確認し、できるかぎりロスを減らす走行ルートを立てましょう。
8.タイヤの空気圧から始める点検・整備
タイヤの空気圧が不足すると接地面が増え、抵抗も増加します。市街地で2%程度、郊外で4%程度燃費が悪化するのです。
タイヤの空気圧は1か月で5%程度低下するため日常的なチェックが不可欠です。
また、エンジンオイルが劣化したり、オイルフィルターやエアクリーナーエレメントなどが汚れたりするとエンジンの効率が下がり、燃費が悪化します。
タイヤやエンジンオイルなど、定期的な点検・整備を心がけましょう。
9.不要な荷物は降ろそう
燃費にはクルマ全体の重量が大きく関係することから、クルマを開発するときにはグラム単位の軽量化を図っていますが、ユーザーが不要な荷物を積んでしまうと軽量化が意味をなさなくなります。
たとえば100kgの荷物を載せて走ると3%程度も燃費が悪化することから、必要のない荷物はクルマから降ろすようにしましょう。
10.走行の妨げとなる駐車はやめよう
ここまでの9項目は自分のクルマの燃費改善にまつわるものでしたが、最後はほかのクルマのためです。
交通の妨げになる場所での駐車は渋滞の原因となり、ほかのクルマの燃費を悪化させてしまいます。
他車の妨げになるような場所での駐車はしないという意識が大切です。
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燃費改善に効果的な「エコドライブ10のすすめ」は、燃料消費量やCO2排出量を減らすという環境への配慮や経済性だけでなく、安全運転の基本ともいえる内容です。
10のすすめをすべて実践するのが難しくても、できることから始めてみてはいかがでしょうか。