最近では、警視庁が自転車の悪質な交通違反に対して、赤切符交付を積極的におこなうと報じられたことが話題となりました。こうした自転車の交通取り締まりに関して、ユーザーからは賛否の声も見られています。

クルマと自転車の異なる「交通取り締まり制度」とは

 最近では、警視庁が自転車の悪質な交通違反に対し、赤切符による取り締まりを強化すると報じられ話題となりました。
 
 これについて、ユーザーからは賛否の声が集まっており、「なぜクルマより罪が重いのか?」という声もあがっています。
 
 では、クルマと自転車の交通取り締まりにはどういった違いがあるのでしょうか。

 警視庁が自転車に対する交通取り締まりを強化した背景には、コロナ禍の影響でデリバリーサービスが普及するなど、自転車利用が増加傾向にあり、これに呼応するように危険運転や交通事故が多発していることが要因に挙げられます。

 警視庁が公表している交通事故のデータによると、2021年に東京都内で発生した交通事故2万7598件のうち、自転車が関与している事故は43.6%にあたる1万2035件と、多く発生している状況がうかがえます。

 警視庁はこれまでも自転車の交通取り締まりをおこなっており、すでに過去には赤切符交付で検挙している事例も。

 しかし絶えず発生する交通事故のほか、さらなる取り締まりを求める声が上がっていたことから、今回取り締まりを強化する運びとなったと考えられます。

 この自転車の取り締まりの強化に関してSNSでは「もっとガンガン取り締まりをやってほしい」「道交法を守るほうが当たり前」と自転車への赤切符交付に対し、賛同する声が多く見られます。

 一方で、「クルマより罪重い!?」「制度として不公平を感じる」「赤切符はやりすぎ」と否定的な声もありました。

 では、そもそもクルマと自転車の交通取り締まりにはどういった違いがあるのでしょうか。

 まず自転車で交通違反をした場合、赤切符を切られるケースと警察官の指導警告を受けるケースの2パターンがあります。

 赤切符は刑事罰の対象となる切符であり、信号無視や遮断踏切立入り、指定場所一時不停止など悪質な違反と認められた場合に交付される可能性があります。

 赤切符を切られると、警察施設への出頭を求められます。

 出頭後は警察官と検察官から交通違反の事実についてそれぞれ取り調べを受け、起訴されれば裁判で罰金などの処分を受けることがあります。

 たとえば、信号無視をした場合の罰則は3か月以下の懲役または5万円以下の罰金と決められているため、その範囲内で刑罰を受ける可能性があります。

 赤切符に当たらないと判断された交通違反の場合は、「自転車指導警告カード」という黄色い紙が違反者に交付され、警察官から交通ルールについて指導されます。

 このカードを交付されても罰則はありませんが、運転者の住所、氏名などを警察官から聴取されたり、自転車の防犯登録番号などを控えられます。

 さらに3年間に2回以上、自転車で信号無視などの危険行為をおこなって取り締まりを受けた、あるいは危険行為によって交通事故を起こして送致された運転者は、自転車運転者講習を受けなければいけません。

 講習の受講命令に従わなかった場合には、5万円以下の罰金が科されることもあります。

 対象となる危険行為は、信号無視、通行禁止違反、歩行者用道路での徐行違反、通行区分違反、遮断踏切立入り、指定場所一時不停止等、制動装置(ブレーキ)不良自転車運転など15類型の交通違反です。

 知らずに運転していたということがないよう、改めて自転車の交通ルールを確認しておくことが大切といえます。

 ここまで自転車の交通違反に対する取り締まりについて述べましたが、自動車に対する取り締まりには「交通反則通告制度」の適用があるという点が大きく異なります。

 交通反則通告制度とは、自動車の運転者が違反点数3点以下の比較的軽微な交通違反をした際、一定期間内に反則金を納付すれば刑事罰に問われないというものです。

 たとえば、自動車で指定場所一時不停止等の交通違反をした場合には交通反則切符、通称青切符を切られて違反点数2点と普通車で反則金7000円が科されるものの、切符とともに交付される納付書を使って反則金を納めれば、そこで手続きは終了します。

 内閣府が公表したデータでは、2021年中に発生した道路交通法違反取り締まりのうち、交通反則通告制度の適用率は96.7%という結果であり、自動車による交通違反の多くが青切符によって処理されていることが分かります。

 つまり自転車で指定場所一時不停止等の違反をすると赤切符を交付される可能性があるのに対し、自動車の場合はほとんどが青切符で処理されているといえるでしょう。

 自動車の運転で赤切符の対象となるのは、酒酔い・酒気帯び運転や無免許運転、過度な速度超過の違反など、交通反則通告制度の適用を受けない重大な交通違反であり、これらの違反では刑罰を受ける可能性が高くなります。

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 自転車で赤切符の対象となる交通違反が、自動車の場合は青切符で処理され、刑罰を受けないというケースがあるため、自転車の罰則が厳しいと感じる人もいるかもしれません。

 しかし自転車に免許制度はなく、いまだに危険な運転を繰り返している人がいる現状を踏まえると、自転車に対する取り締まり強化はやむを得ないともいえます。

 自転車を運転する際には、自転車もクルマの仲間であるという認識を持って安全運転を心がけることが大切といえます。