気付けば汚れているクルマのホイール。汚れが発生する原因や、汚れを落とす方法について考えます。
洗車機だけでは落とせない細かい汚れが「気になる!」
せっかくクルマをきれいに洗車できても、ホイールが汚ければ台無しです。ホイール汚れはどのように発生するのでしょう。
ホイールの汚れを減らしたり、汚れを落とすにはどうすれば良いかについて紹介します。
クルマを洗車する際、意外と手間がかかるのがホイールの洗浄です。
通常の機械式洗車機では、ホイールのすみずみまではなかなかキレイになりません。
洗車機コースのオプションで「ホイール洗浄」をセレクトしても、凹凸が多いメッシュタイプなどのホイールの場合は難しいことが多いのです。
しっかりホイールをキレイにするためには、手洗いによる洗浄が必要となります。
メッシュタイプでは、ひとつひとつの隙間に入ったホイールダストを、スポンジなどでこすりとる必要があり手間がかかります。さらに最近のSUVなどに採用されている大径ホイールの場合は洗う面積も広く、骨が折れる作業となっています。
ホイールに付着する汚れは、ボディや窓に付着する砂ぼこりや油膜などに加えて「ホイールダスト」と呼ばれるホイールならではの汚れがあります。
多くのクルマが採用するディスクブレーキは、クルマを減速させる際に車軸で回転する「ブレーキローター」を「ブレーキパッド」で挟み込む「摩擦」により減速させます。
その摩擦により、樹脂や金属で造られるブレーキパッドとブレーキローターが摩耗することで「ブレーキダスト」が発生。ホイールに付着するのです。
高温な鉄分を多く含むブレーキダストがホイールに焼き付いて固着し、落ちにくい汚れに変わるわけです。
最近ではHEV(ハイブリッド車)に加え、PHEV(プラグインハイブリッド車)やBEV(電気自動車)が増えています。これらのクルマには、通常のブレーキ以外に、減速エネルギーを電気に変える回生ブレーキが備わっています。
そのためブレーキを踏んだ際にブレーキパッドを使う頻度が減り、ブレーキダストの発生も抑えられるので、汚れ付着の悩みは軽減される傾向にあります。
一方で輸入車、特に欧州車には別の課題もあります。
速度無制限区間があるドイツのアウトバーンでは、200km/hを超える速度でも安全に減速できるよう、ブレーキ性能を強化しています。
その他の欧州各国でも、日本に比べ一般道や高速道路での速度域は高い傾向にあり、強い制動力が求められます。
制動力を強化した高性能なブレーキパッドとブレーキローターは摩擦力が高まる分、より高い耐熱性が求められるため、素材の鉄分も多く含まれるようになります。その結果、ブレーキダストがより発生しやすくなります。
なお、国産車でも、スポーツカーなどハイパフォーマンスモデルの場合は、欧州車同様にブレーキ性能を強化し大型なブレーキローターが装着されるため、ブレーキダストが出やすい傾向があります。
運転を見直すことで「汚れ」も減らせる!?
しかしブレーキダストの汚れを減らすことは可能です。
そのためには、今まで以上に「先読み運転」を行うことが必要となります。
例えば先の信号が赤になった場合、早めにアクセルをオフにして、ブレーキに頼らず速度が下がるようにし、必要に応じてエンジンブレーキをかけて減速することで、ブレーキパッドとブレーキローターの摩耗を減らすことができます。
ちなみに筆者(くるまのニュースライター hamataro)も以前、ドイツ車を所有していましたが、シフトダウンを早めにし、エンジンブレーキを積極的に活用していたので、強いブレーキを使わず停止でき、結果、ブレーキダストによるホイールの汚れにも困ることがありませんでした。
ドライブ中は早め早めの判断をし、周囲の交通に迷惑をかけない範囲で、ふんわりブレーキを心がけると良いでしょう。
一方、ブレーキパッドを「低ブレーキダスト」タイプに交換し、ホイールダストを減らす方法もあります。
アフターマーケットのブレーキパーツの中には、ブレーキ性能は落とさず、ブレーキダストの発生を抑えたブレーキパッドが発売されています。
大手のブレーキパッドメーカーによると、サーキットなどのスポーツ走行向けのブレーキ性能を強化したモデルに加え、ストリートや一般的なワインディングロード向けとして、低ブレーキダストのブレーキパッドが用意されていると説明します。
ブレーキダストが気になる人は、交換してみるのもひとつの手といえそうです。
それでは、ホイールダストが付着した場合の洗浄はどのようにしたら良いのでしょうか。
比較的ホイールダストが少ないタイミングで清掃ができる場合は、通常のシャンプー洗車の要領でスポンジにシャンプーをつけてこするだけで、ホイールダストを落とすことができます。
またホイール専用のウエットティッシュなどで手軽に拭き取るだけでも、キレイにすることができます。
しかし、時間が経ってしまいブレーキダストがホイールに固着してしまっている場合は、ブレーキダスト専用のクリーナーを使うと良いでしょう。
特にブレーキダストの鉄粉に化学反応し洗浄するタイプのクリーナーは、ホイールとブレーキダストとの固着を化学反応で除去し、簡単にきれいにできるのでオススメです。
また、洗浄と同時に撥水コーティングできる製品もあるので、メンテナンスの頻度を減らしたい人はこのような商品を活用すると良いでしょう。
ちなみに化学反応で洗浄するタイプのクリーナーは、鉄粉に反応する成分を含むため、鉄製ホイールには使用できない点は注意が必要です。
なおホイールはデザインによって細かな造形がされており、奥まできれいにスポンジが届かないこともあります。
このような場合は、洗車スポンジとは別に、ホイールの形状に合わせたホイール洗浄専用のスポンジを利用すると、さらにきれいにできます。あわせて活用すると良いでしょう。
※ ※ ※
ホイールの裏側にはホイールダストが固着しており、表側からの洗浄では落とせない汚れがあります。表側だけ洗浄しても、裏から汚れがたれてくることがあります。
春となり降雪時期が終わると、スタッドレスタイヤから夏タイヤに組み替えるユーザーも増えます。
タイヤ交換時は、タイヤを外したついでにホイールの裏側のホイールダストをあわせて洗浄できて、よりきれいなホイールを実現させる絶好のチャンスといえるでしょう。