日本でタクシーと言えば都市部などで「JPNタクシー(ジャパンタクシー)」を見かける機会が多いです。そんなジャパンタクシーですが、なぜかタイでお披露目されたといいます。
なぜタイでトヨタ「JPNタクシー」が公開されたのか
タイのバンコク郊外で、「第44回バンコク国際モーターショー」がはじまりました。
多くの同市場向けモデルが展示されるのなかで、日本でも馴染みの深い「タクシー」が公開されてましたが、なぜなのでしょうか。
タイと言えば東南アジア最大の自動車生産国であると同時に、2022年12月にはトヨタが進出60周年を記念した大イベントを開催したこともニュースになった場所です。
当然ながら、バンコク国際モーターショーでもトヨタは他社よりも広いブースを展開。多くの車両を展示しています。
そんなトヨタブースで、気になるクルマを見つけました。鮮やかなカラーリングの、ちょっと背が高い車両です。
日本人にとっては一目瞭然でしょう。トヨタがタクシー専用車両として開発した「JPNタクシー(ジャパンタクシー)」にほかなりません。
どうして現地で販売されていないJPNタクシーがバンコクモーターショーの会場にあるのでしょうか。
多くの人が感じるその疑問は、バンコクを訪れたことがある人なら鮮やかなカラーを見れば一目瞭然でしょう。
このカラーは、バンコクを走るタクシーのよく見かけるタイプのひとつ。つまり、この車両をタイでもタクシーとして販売することを示唆するものです。
タイの車両は日本と同様に右ハンドルということもあり、パッと見た感じは日本のタクシーとの違いは感じません。
インテリアも基本的に日本向けと変わりませんが、料金メーターはしっかり現地仕様になっていました。
面白いのは、後席にシートヒーターが備わっていたことです。
このタクシーが多く導入されるであろうタイの首都バンコクでは、1年を通じて寒くならないのでシートヒーターは必要ありません(それよりもエアコン能力が求められる)。
実はこの展示車両は現地市販仕様ではなく「コンセプトモデル」として日本仕様をベースとし現地向けに変更が行われた仕様となります。
そのため日本向けと同様に後席シートヒーターが組み込まれているのですが、量産仕様ではレスとなる可能性が高いと考えてよさそうです。
タイでも「ジャパンタクシー」と呼ぶの? それとも「タイタクシー」なの?
ところで、タイでも車名は「JPNタクシー」として販売するのか、それとも「タイタクシー」になるのか。
気になるところですが、展示車両の名前はそのどちらでもなく「LPG HEVタクシーコンセプト」。
市販時には変更される可能性もありますが、現時点では割とあっさりした名前です。
また、車名からもわかるようにパワートレインはLPGを燃料とするハイブリッド(THS)で、それはJPNタクシーと変わりません。
また、日本のタクシーと同様にガソリンではなくLPG(液化石油ガス)を燃料とすることはいまバンコクを走っているタクシーと同じです。
実はJPNタクシーは、日本発売前(2016年頃)からタイの公道で走行テストする姿が目撃されていました。
その姿を目撃したクルマに詳しい人は「なぜタイで発売前のJPNタクシー?」と疑問に思っていたようですが、そのころからタイ導入計画があったのかもしれません。
ところで現在のバンコクのタクシーはどのような車種が多いかと言えば、ほぼトヨタ車です。
しかもそのほぼすべてが「カローラ」。
それは言い換えれば、トヨタがタクシー向け車両を切り替えればどんどん「JPNタクシー」ならぬ「LPG HEVタクシー」が増えていくということを意味します。切り替えると、どんどん置き換わっていくことでしょう。
大都市においてタクシーは「街の風景の一部」と言われ、タクシーがカラフルなバンコクはさらにその傾向が強いかもしれません。
そんなバンコクにおいて、トヨタの新型タクシーは街の風景を大きく変えることになりそうです。