2023年7月1日から電動キックボードに関して新しい交通ルールが適用されますが、利用する上でどのようなことに気をつければ良いのでしょうか。

7月から電動キックボードはどのように分類される?

 最近、都市部などの交通で電動キックボードが使われるようになり、利用者の増加とともに交通事故件数も増えています。
 
 電動キックボードに関しては2023年7月1日から新しい交通ルールが適用されますが、利用する上でどのようなことに気をつければ良いのでしょうか。

 最近では都市部を中心に、電動キックボードを利用している人を見かけるようになりました。

 電動キックボードは小型で持ち運びしやすく、クルマやバイクなどと比べて購入費用が安価であるほか、保険料が安い、スペースをとらないといった多くのメリットがあるため、利用する人が増えているのかもしれません。

 しかし利用者の増加にともない、年々電動キックボードによる交通事故も増加しています。

 2023年3月に警察庁が公表した「令和4年における交通事故の発生状況について」という統計資料によると、電動キックボードに関連する事故件数は2020年に4件だったものが、2022年には41件と10倍以上になっています。

 そして2022年には、駐車場内で電動キックボードを運転していた男性が車止めに衝突して転倒し、頭を打って亡くなるという電動キックボードに関連した初めての死亡事故も発生しました。

 前述の資料によると、2020年から2022年に発生した全事故のうち事故の相手は四輪が約42%、自転車が約19%、歩行者が約11%などとなっているほか、相手がいない単独での事故も約24%発生。

 また事故の発生場所を都道府県別で見ると東京都が約66%、次いで大阪府が約8%と、東京都での事故が圧倒的に多いことも明らかになっています。

 そもそも電動キックボードとは道路交通法で「車両」に該当する乗り物です。

 2023年4月現在、搭載している原動機の定格出力が0.6キロワット以下であれば原動機付自転車、0.6キロワットを超えて1.0キロワット以下であれば小型の自動二輪車に分類されるため、区分に応じた運転免許が必要です。

 この電動キックボードに関しては道路交通法の改正により2023年7月1日から新たな交通ルールが適用されますが、利用する上でどのようなポイントに気をつければ良いのでしょうか。

 2023年7月1日からは「車体が190cm以下、幅60cm以下」、「原動機の定格出力が0.6キロワット以下」、「車体の構造上時速20kmを超える速度が出せない」、「最高速度表示灯が備えられている」など一定の基準を満たす電動キックボードについては従来の「原動機付自転車」ではなく「特定小型原動機付自転車」に分類されるようになります。

 特定小型原動機付自転車は、最高速度や性能の面で自転車と同程度の乗り物とみなされるため、2023年7月1日からは免許がなくても運転が可能になるほか、ヘルメットの着用も努力義務となります。

 ただし、自転車と違って16歳未満の人は運転が禁止されるほか、16歳未満の人に対して電動キックボードを貸し出す行為も禁止されているため、その点は注意が必要です。

電動キックボードの交通ルールはどうなっている?

 基本的な交通ルールは自転車のように原則車道を左側通行で、「特定小型原動機付自転車・自転車専用」の道路標識がある場所では自転車道を通行します。

 また、基本的にクルマ用の信号機にしたがって通行しますが、歩行者用信号機に「歩行者用・自転車専用」の標示があればその信号機のとおりに通行する必要があるなど細かくルールが決まっています。

 さらに特定小型原動機付自転車の中でも、最高速度表示灯を点滅させている間は時速6kmを超える速度が出せないなど一定の条件を満たすものについては「”特例”特定小型原動機付自転車」に分類され、道路標識などで歩道通行が許可されている場所では歩道を通行できるようになります。

 とはいえ、あくまで歩道は歩行者優先であるため、特例特定小型原動機付自転車であっても歩行者の通行を妨げるおそれがあれば一時停止するなど配慮しなければいけません。

※ ※ ※

 2023年7月1日から、一定の基準を満たす電動キックボードは「特定小型原動機付自転車」に区分され、免許なしで運転できます。

 さらにその中でも最高速度表示灯が点滅している間は時速6kmを超えないなどの条件を満たすものは「特例特定小型原動機付自転車」として、例外的に歩道を走行できるようになります。

 電動キックボードの購入を検討する際には、自分の使用目的に合わせ、出せるスピードなどの条件のほか、交通ルールをよく確認することが大切です。