長距離ドライブの移動に便利なのが高速道路ですが、タイヤは走行時の安全性も担保するために適切に管理しなければいけないパーツのため、あらかじめ点検をしておいたほうが安心です。
空気圧はどのくらいが適切?「高めに入れておきますね」は正しい?
ガソリンスタンドで「空気圧は高めに入れておきますね」と声をかけられた経験がある人もいるようです。
では実際に空気圧は、本当に規定より高めに入れるほうがよいのでしょうか。
大型連休では、長らく旅行を控えていた人も長時間のドライブが必要な遠出をすることになるかもしれません。
長距離ドライブの移動に便利なのが高速道路ですが、タイヤは走行時の安全性も担保するために適切に管理しなければいけないパーツのため、あらかじめ点検をしておいたほうが安心です。
道路運送車両法第47条には「使用者の点検および整備の義務」が定められており、タイヤの空気圧の整備も当然実施しなければいけません。
では、タイヤの空気圧はどのくらいの数値にしておけばよいのでしょうか。
まれにガソリンスタンドで「空気圧は高めに入れておきますね」という声かけをされることもありますが、本当に高めがよいのでしょうか。
カー用品店の担当者は、タイヤの空気圧について以下のように話します。
「基本的に、『空気圧は高めに入れた方が良いです』といった推奨はしておりません。
クルマによってタイヤの空気圧の標準値が異なりますが、自然な空気抜けを考慮しても20kPaほど高めにするくらいが良いのではないかと思います」
ちなみにその標準値は運転席側のBピラー付近に記載されています。
前輪と後輪で空気圧の標準値が異なることもあるため、表示された数値をしっかりと確認するようにしましょう。
また、クルマによって空気圧が異なる理由のひとつには車重が関係しています。
たとえば、2トンサイズのトラックの場合は、500kPaから600kPa、4トンサイズでは、700kPaから800kPaが空気圧の標準値となっています。
一方、軽自動車のホンダ「N-BOX」が210kPa、普通車のトヨタ「アクア」が270kPaとなっており、乗用車ではおおむね200kPaから290kPaの間が標準値となっていることが多いようです。
しかし、空気圧は高ければよいというわけではなく、高速道路を走行するからといって高めにする必要はないとされています。
タイヤは自然に空気が抜けて次第に空気圧が低くなるため、それを考慮して、ガソリンスタンドなどでは「高めに入れておきますね」という声かけはこういったことを示していると予想できます。
タイヤの空気圧トラブルは高速道路で発生しやすい?
タイヤの空気圧によるトラブルは、毎年頻繁に発生しています。
実際に、JAF(一般社団法人 日本自動車連盟)の出動理由の上位には「タイヤのパンク・バースト(破裂)・エアー圧不足」がランクインしています。
また、クルマのタイヤトラブルについては、一般道路と高速道路で大きな違いがあり、一般道路ではトラブル全体の約18%を占めるのに対し、高速道路は約39%と2倍以上になっています。
一般的に高速道路ではバーストが多く見られる傾向があるようです。
高速道路でのスピードを出した走行はタイヤへの負荷が大きく、空気圧が低下しているとタイヤの変形が大きくなってしまい、それが原因でタイヤが発熱し、最後にはバーストしてしまうこともあるようです。
この現象を「スタンディングウェーブ現象」と呼び、バーストにならない場合もセパレーション(はく離)を起こすおそれがあります。
通常、タイヤは空気が自然に徐々に抜けていくため、点検をせずに放置していると、空気圧が下がってしまいます。
そのため、1ヶ月に1回ほど、空気圧や損傷がないかの点検をおこなうほうがよいとされています。
GWに限ってみてみると、高速道路でのJAF出動理由で最も多いのが、タイヤのパンク、バースト、エアー圧不足となっているため、日常的に近所を運転している人でも高速道路を利用する際は、きちんと点検を受けたほうがよさそうです。
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ちなみに、タイヤの空気圧が低すぎる場合、道路との接地面が潰れた形になって水を掻き出す排水性が低下し、路面とタイヤの間に水膜ができてタイヤが浮いてしまうという「ハイドロプレーニング現象」が発生するおそれがあります。
一方、空気圧が高すぎると、タイヤが部分的に異常に摩耗する「偏消耗」が生じて、タイヤの寿命が短くなってしまいます。
そのため、タイヤの空気圧は自分が乗っているクルマの標準値を確かめて、適切な管理をするのが好ましく、高速道路を利用するからといって高く設定しなくてもよいといえます。