街中の道路では、交差点内で停車して人を降ろしているクルマや道路上でいきなり停車するクルマを見かけることがあります。場合によっては事故につながりかねない行為ですが、このような停車方法は問題ではないのでしょうか。

交差点の中で停車するクルマ…これって違反?

 クルマの運転をしていると、交差点内で停まって客の乗り降りをさせているタクシーや、急な車線変更のために車道で突然停車するクルマに遭遇します。

 車道でいきなり停車されると交通の妨げになるほか、後ろを走っていたクルマが停車中のクルマに追突したり、避けようとして他のクルマと接触するなど交通事故につながるおそれもあります。

 そもそも停車とは、道路交通法第2条第1項第19号で「車両等が停止することで駐車以外のものをいう。」と記載されており、具体的には人の乗り降りや5分以内の貨物の積み下ろしのための停止などを指します。

 それならば「人の乗り降りのために交差点内でクルマを停車しても良いのでは?」と思う人がいるかもしれませんが、このような一時的な停車にもきちんとルールが決められています。

 まず、駐停車が禁止されている場所にはクルマを停車してはいけません。

 道路交通法第44条では道路標識で駐停車が禁止されている場所のほか、交差点内や交差点の側端から5m以内の部分、横断歩道や横断歩道の側端から前後5m以内の部分などへの駐車・停車を禁止しています。

 つまり、たとえタクシーなどで人の乗り降りをする場合でも交差点内やその付近で停車することは駐停車禁止場所等違反になってしまうのです。

 もしこの違反で警察から取り締まりを受けた場合は違反点数2点、普通車で1万2000円の反則金が科される可能性があるため注意しましょう。

 さらに、クルマの基本的な停車方法については道路交通法第47条第1項で「車両は、人の乗降又は貨物の積卸しのため停車するときは、できる限り道路の左側端に沿い、かつ、他の交通の妨害とならないようにしなければならない。」と定められています。

 ときどき道路の真ん中寄りで停車しているクルマを見かけますが、停車をする際には道路の左側に寄り、周りのクルマが通行しやすいように配慮する必要があるでしょう。

 この停車方法に従わなかった場合も駐車禁止場所等違反として違反点数1点、普通車で1万円の反則金が科される可能性があります。

 では、急に車線変更をするために道路上で停車する行為についてはどうでしょうか。この行為については、停車の違反ではなく進路変更禁止違反や急ブレーキ禁止違反などに該当する可能性があります。

 進路変更禁止違反について規定した道路交通法第26条の2第2項では「車両は、進路を変更した場合にその変更した後の進路と同一の進路を後方から進行してくる車両等の速度又は方向を急に変更させることとなるおそれがあるときは、進路を変更してはならない。」と決められています。簡単に言うと、後ろを走っているクルマが急ブレーキや急ハンドルで避けなければいけないような突然の進路変更を禁止しているのです。

 また道路交通法第24条では「車両等の運転者は、危険を防止するためやむを得ない場合を除き、その車両等を急に停止させ、又はその速度を急激に減ずることとなるような急ブレーキをかけてはならない。」と不必要なクルマの急停車を禁止しています。

 進路変更禁止違反では違反点数1点、普通車で反則金6000円、急ブレーキ禁止違反では違反点数2点、反則金7000円が科される可能性があるため、道を間違えたからといって無理な車線変更をしたり、急に止まったりすることがないよう気をつけましょう。

 また、後ろを走るクルマのドライバーも前のクルマとの車間距離を空けるといった防衛運転を意識することが大切です。

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 よく見かける交差点内での人の乗り降り、道路上での急停車などは交通違反に当たる可能性があります。交通事故を防止するために、また他のクルマに迷惑とならないようきちんと交通ルールを守って運転しましょう。