ポルシェは2023年4月18日、新型「カイエン」を発表しました。「ポルシェの歴史の中で最も広範囲にアップグレードした一台」といいますが、従来型と比べてどのような点が進化したのでしょうか。

ポルシェ新型「カイエン」登場

 ポルシェは2023年4月18日、上海モーターショーの開幕に合わせて最上級SUV新型「カイエン」を発表しました。
 
「ポルシェの歴史の中で最も広範囲にアップグレードした一台」とメーカーは説明していますが、従来型と比べてどのような点が進化したのでしょうか。

 カイエンは2002年に、ポルシェ初の“SUVとしてデビューしたモデル。今回発表された新型カイエンは第3世代目の進化版という位置づけです。

 変更点で最も分かりやすいのはコックピットでしょう。従来、中央のコンソール上にあったシフトレバーがステアリングコラムの横に、ドライブモードスイッチがステアリングに移設されたことで、コンソールのデザインがかなりすっきりしました。

 運転席正面のメーターパネルは完全にデジタル化された12.6インチの湾曲タイプになりました。助手席側には10.9インチのタッチ式ディスプレイが追加されたのも特徴のひとつです。これらは同社のEV(電気自動車)「タイカン」に共通するもので、先進性の演出とともに、新たなドライビングエクスペリエンスをもたらします。

 エクステリアのデザインは全体像として大きく変わっていませんが、バンパーやライトなどのディテールが変更され、より精悍な印象になっています。

 革新的な照明テクノロジーとして紹介されているのは新開発のHDマトリクスLEDヘッドライトです。左右合わせて3万2000以上の画素で構成され、周囲の車両や走行状況に応じて照射範囲をきめ細やかに調整(1000段階以上)し、他車両のドライバーを幻惑することなく安全走行をサポートします。

 グレード別で見ると「カイエンS」に搭載されるエンジンが、従来の2.9リッターV6から4リッターV8に変更されたのがポイントです。最高出力は従来型比25kW(34馬力)増の349kW(474馬力)、最大トルクは50Nm増の600Nmになりました。

 ベースモデルに搭載される3リッターV型6気筒エンジンも進化しており、最高出力は従来型比10kW(13馬力)増の260kW(353馬力)、最大トルクは50Nm増の500Nmになりました。

 このV型6気筒エンジンは、カイエンEハイブリッドのパワートレインのベースにもなっています。30kW増の130kW(176馬力)になった新しい電気モーターと組み合わせることで、合計出力346kW(470馬力)を発生します。さらに高電圧バッテリーの容量を17.9kWhから25.9kWhに増大したことで、電気のみによる航続距離は最長90km(WLTP)になりました。

 さらに、日本では設定されない最上級モデルとなる“ターボGT”では、最高出力485馬力(従来比+19馬力)を発揮する4.0リッターV型8気筒エンジンを搭載、これにより0-100km/h加速は3.3秒、最高速度は305km/hに達します。

 その他、ボディカラーの拡充、空調システムの高機能化、サスペンションの見直しなど、多岐にわたって変更、改良が施されています。日本では予約受注がスタートしており、車両本体価格は1198万円(消費税込み)からとなります。