日産の高級ミニバン「エルグランド」は登場からまもなく13年が経過します。ライバルである高級ミニバンがモデルチェンジするなか、現在のエルグランドはどうなっているのでしょうか。

「キング・オブ・ミニバン」名称も… 「跡継ぎ」のハナシはない?

 日産の高級ミニバン「エルグランド」は、現行型登場からまもなく13年が経過しようとしています。
 
 ライバル車のモデルチェンジがささやかれる中で、現在のエルグランドはどのような展開をしているのでしょうか。

 日産の最高級ミニバンであるエルグランドは、初代モデルが1997年5月に登場しました。

 存在感のあるエクステリアと豪華で広々としたインテリア、高級車にふさわしい十分な性能を持つパワートレインの採用を特徴とし、高級ミニバン人気の先駆けとして人気を博しました。

 現行モデルは3代目となり、2010年8月にフルモデルチェンジ。「キング・オブ・ミニバン」をうたい、堂々たるデザインや走行性能はそのままに、低重心のプラットフォームを採用し従来のFR(後輪駆動)レイアウトからFF(前輪駆動)に刷新されています。

 全高も1900mmを超える2代目から1815mmへと抑えたこともあり、操縦安定性が向上。広々としたミニバンからスポーティな走りを持つミニバンとして生まれ変わりました。

 パワートレインは、2.5リッター直列4気筒エンジンに加え、最高出力280馬力・最大トルク344Nmを誇るパワフルな3.5リッターV型6気筒エンジンをラインナップし、全車CVTを組み合わせます。

 そんなエルグランドは2023年で登場から13年が経過し、一般的に4年から5年、遅くとも7年程度でフルモデルチェンジのサイクルを迎える国産車として異例ともいえるほどの長いモデルライフを送っています。

 そのため、これまでに幾度かの改良が実施されています。

 エクステリアでは、2014年にビッグマイナーチェンジを実施。大型化したフロントグリルや新デザインのヘッドライトを採用するなど、押し出し感を強調。

 2020年にも改良を実施し、さらに新しいデザインへと一新。水平基調でフロントグリルからヘッドライトまで一体感のあるものから、市松模様をイメージさせる精細なデザインのものへと変更され、グレードによりブラッククロームとサテンクロームの2色を用意することでキャラクターの違いを主張します。

 同時に先進運転支援システムも充実させ、インテリジェントクルーズコントロールやアラウンドビューモニターに加えて、衝突被害軽減ブレーキや車線逸脱警報、後側方衝突防止などが全車標準装備されています。

 現在のラインナップは、エアロパーツを装備した「ハイウェイスター」がメイングレードとなり、日産のカスタムパーツを手掛けるNMC(日産モータースポーツ&カスタマイズ)が展開する「オーテック」バージョンや、ショーファー需要に応え後席の装備や機能を充実させた4シーターモデル「VIP」も用意。一方でエアロを装備しないベースグレード「250XG」は廃止されています。

 そんななか2023年に入り、エルグランドを取り巻く高級ミニバン市場の状況も変わりつつあります。

 同クラスの高級ミニバンでは、登場から8年が経過したトヨタ「アルファード」の次期型に関する噂がたびたび話題になっており、さらにレクサス版アルファードとも言えるフラッグシップミニバン「LM」2代目モデルが今秋に日本国内へ導入されることが明らかになりました。

 さらに、2021年末に国内販売を終了したホンダ「オデッセイ」も、中国で継続生産しているモデルを輸入することで、今冬約2年ぶりに国内市場へと復活することが予定されています。

 販売台数ランキングを見ると2022年度では上位50位以内にエルグランドの名はない一方で、次期型を待ち望むユーザーが多いアルファードが上位に位置するほかに、ミディアムサイズミニバンのトヨタ「ノア/ヴォクシー」、「セレナ」やホンダ「ステップワゴン」も名を連ねていることから、居住スペースにアドバンテージを持つミニバンの需要が低下していないことが示唆されています。

 しかし2023年5月上旬現在、エルグランドの次期モデル登場に関する情報はメーカーから一切出てきていないのが現状です。

 今も継続するミニバン需要や、フルモデルチェンジ予定のライバル車にも対抗できる魅力を持った、元祖高級ミニバンブランドにふさわしい新型エルグランドの登場が待たれます。