スズキが展開するコンパクトSUV「エスクード」ですが、どのような特徴があるモデルなのでしょうか。

スズキと言えば「ジムニー」だけじゃない! 元祖ライトクロカンのエスクードとは

 いまでこそ「SUVブーム」と言われて久しいですが、1980年代はその前身となる「RVブーム」が日本で巻き起こっていました。
 
 そんな時代に登場していたのが、1988年に発売されたスズキ「初代エスクード」で、2023年現在も世代を重ねながら進化を続けて販売されています。

 RVブーム当時は「コンパクトSUV」といったジャンルは存在していませんでしたが、スズキ「ジムニー」よりもオンロード性能を重視したモデルとして、1988年に初代エスクードは登場しました。

 ジムニー同様にラダーフレームを採用しながら、乗用車のような乗り心地を実現。パワートレインは、1.6リッターガソリンエンジンを搭載。クルマとしてのバランスの良さから世界中で人気を誇りました。

なお海外向けでは「ビターラ」など、日本とは異なる名称で販売されています。

 初代エスクードは当初3ドアモデルと同コンバーチブル仕様だけでしたが、1990年にはホイールベースを伸ばし、後席ドアを追加した5ドア仕様「エスクード ノマド」も設定したほか、エンジンラインナップも徐々に拡大しています。

 その後、歴史を重ね2代目エスクード(1997年-2005年)、3代目エスクード(2005年-2017年)が登場しています。

 また2015年には現行となる4代目エスクードが登場しますが、しばらくの間は3代目と4代目は併売されていました。

 4代目エスクードは、ジムニーやエスクードで培ってきた本格四輪駆動車やSUVとしての資質を受け継ぎながら、幅広いユーザーの期待と時代のニーズに応えるべく、あらゆる面で進化させたコンパクトSUVとして登場します。

 なおハンガリーにおける製造子会社のマジャールスズキ社で生産し、スズキブランドの輸入車として日本で販売しています。

 見た目は伝統のスズキSUVスタイルを継承したデザイン、取り回しの良いボディサイズながら、ゆとりある前席空間と十分な荷室スペースを確保したパッケージングを実現。

 さらに、力強い加速性能と燃費性能を両立したパワートレイン(当初は1.6リッターガソリンのみ)や、欧州で徹底して走り込み実現した安定感のある足まわりが特徴です。

 また、衝突被害軽減システムをはじめとする先進の安全装備などを採用する他、4WD車にはスズキ独自の四輪制御システム「ALLGRIP(オールグリップ)」により様々なシーンで優れた走破性を発揮し、街乗りからアウトドアレジャーまで幅広い用途で使えるモデルとなっていました。

 2017年には「エスクード 1.4ターボ」として2リッター自然吸気エンジン並みの高出力・高トルクを発揮する1.4リッター直噴ターボエンジンに6速ATを組み合わせた仕様が展開されます。

一度、歴史に幕を閉じて…復活した「新生エスクード」の反響は?

 その後、日本市場では2021年9月にひっそりと販売終了となっていましたが、2022年4月21日にハイブリッド専用車として復活を果たしました。

 ボディサイズは、全長4175mm×全幅1775mm×全高1610mm、ホイールベース2500mm、最低地上高185mmです。

 外観上は、ヘッドランプのハイビームランプとフォグランプをLED化したほか、新形状のアルミホイール採用といったデザイン変更がおこなわれています。

一方内装は、マルチインフォメーションディスプレイにハイブリッド関連の表示を追加したほか、シフトノブ加飾がサテンメッキオーナメントに変更となっています。

 パワートレインは、1.5リッターガソリンエンジンにモーターを組み合わせたハイブリッド車となり、ハイブリッドシステムは、「スイフト(ハイブリッドSZ)」と基本は同じものを搭載。

 しかしながら、ハイブリッドシステムの電圧、リチウムイオンバッテリーの容量、モーターの最大出力、トルクの変更により、EV走行が可能な時間や速度の範囲を拡大したことで、WLTCモード走行での燃費値19.6km/Lを実現しています。

 また、ブレーキをかけた際に効率よくバッテリーが充電できる回生協調ブレーキ、後退時のEV走行をスズキで初採用しました。

 日本での展開はハイブリッド車/4WD仕様のみで価格は297万円です。

 このような特徴を持つエスクードですが、ユーザーからはどのような反響があるのでしょうか。

 まずSNSでは「スズキのエスクード欲しい!」、「全長のわりに全幅が凄い…」、「たまに警察車両で見かける」、「影は薄いけど…知名度は低いけど、乗るといいクルマの代表格」と様々な声が見られました。

 また首都圏にあるスズキ販売店では次のように話しています。

「エスクードは、よく売れるというモデルではありませんが、ボディサイズ的にヤリスクロスやヴェゼル、キックスと比較されることがあります。

 とくにヤリスクロスやヴェゼルは他の人と被るということでエスクードを検討したいという人がたまにいらっしゃいます。

 ただし、1グレードかつ約300万円ということで、本当に好きな人が購入に至るという印象です」

 東海圏にあるスズキ販売店では次のように話しています。

「スズキのお膝元に近いということもあり、会社の社用車として購入されるケースが稀にあります。

 またクルマとしての性能はハイブリッド車としての環境面、優れた走破性と走行安定性を実現するALLGRIPなど、他車に負けない魅力を持っていますので、試乗された後に『エスクードに対する印象が変わった』という人もいます」

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 昨今ではSUVブームが続いています。スズキのSUVと言えば「ジムニー/ジムニーシエラ」に注目が集まりますが、スズキの輸入車という一風変わった存在のエスクードはとても魅力的なクルマと言えます。