2023年4月に自転車のヘルメット着用が努力義務化されましたが、東京都足立区では早速「ヘルメットの盗難対策」についての啓発が行われています。これにはどのような理由があるのでしょうか。

足立区で早速「ヘルメット盗難対策」!?

 道路交通法の改正により、2023年4月1日から自転車を運転する際にヘルメットを着用することが努力義務となりました。

 そんななか、東京都足立区では早速「ヘルメットの盗難対策」について啓発を行っているといいます。

 2023年4月1日から自転車に乗る際には年齢に関係なく、すべての人がヘルメットを着用すること、また他の人を自転車に乗せる際にもヘルメットを着用させることが努力義務となりました。

 なお、努力義務は法律で「〜するよう努めなければならない」と定められているものの、罰則はありません。

 そのようななか、東京都足立区では早速「ヘルメット盗難対策」に関する周知ポスターが各所に掲示されています。

 SNSでは「先進的な区だからヘルメット義務化の一歩先にいる」といったコメントとともにポスターの写真も投稿され、一時話題を集めました。

 足立区では自転車のヘルメット盗難対策のほか、自転車のヘルメット着用に関して積極的に啓発を行っているといい、これについて足立区都市建設部交通対策課の担当者は以下のように話します。

「足立区は面積が広くて自転車の利用が多く、高校生や社会人の方が通学・通勤で非常に多く使っています」

 担当者によると「東京23区のなかでも足立区は、自転車の事故件数が多い」と話しています。

 東京23区それぞれの自転車の事故件数について詳細は明らかになっていませんが、警視庁が発表している「都内自転車の交通事故発生状況」をみると、自転車事故の推移は2017年から増加傾向にあり、2022年の自転車事故件数は1万5276件と、前年より1944件多い結果となっています。

 また、全交通事故に占める自転車事故の割合は4割を超えているといいます。

 こうした都内での自転車事故の多さや、足立区での自転車の利用者が多いことが、自転車のヘルメット着用について積極的に周知している背景のひとつといえるでしょう。

 前出の担当者は、「4月から新入学される方など、一緒にヘルメットを購入していただきたいなというところで、春休みの期間から使えるようヘルメット購入補助を始めています」と話しており、足立区では努力義務になる少し前の2023年3月10日から自転車用ヘルメットの購入費用を補助する取り組みを進めています。

 これは、足立区内在住者を対象に、対象店でSGマークなど安全基準を満たした3000円以上の新品自転車用ヘルメットを2000円引きで購入できるというものです。

 ヘルメットの販売個数について、「500件くらいの規模と予定していましたが、2700件ほど利用いただいている状態で、かなり関心が高いと感じます」と想定以上の販売個数だったと話します。

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 先駆けたヘルメット盗難対策について、前出の担当者は以下のように話します。

「自転車を安全に運転してもらうために、ヘルメットが盗難されてしまっては元も子もありません。そのため盗難対策については危機管理部で一括して行っており、駐輪場など区民の方に目につくように(ポスターを)掲示しています」

 ポスターには「名前を書く」「ヘルメットにも鍵」「できれば持って移動」と3つの盗難対策が書かれており、足立区内の各所に掲示されているとのことです。

 自転車のヘルメット着用が努力義務化されたことで、こうした新たな動きも見られています。