夏に近づくにつれてクルマの室内の温度も急激に上昇します。そこで気になるのが、「車中泊」での暑さ対策です。どのような対策をおこなうと良いのでしょうか。

暑さ対策として「駐車場所」を考慮することが大切

 数年前から、クルマのなかで寝泊まりする「車中泊」がブームとなっていますが、季節が夏に向かうにつれて、気になるのが車内の暑さ対策です。
 
 冬場であれば保温性の高いブランケットや重ね着などで、ある程度の寒さ対策が可能ですが、夏の暑さは一筋縄ではいきません。
 
 車中泊の暑さ対策として、どのような方法が効果的なのでしょうか。

 キャンプブーム以前から車中泊を数多く経験してきた元4WD専門誌編集者のTさんは、駐車する場所と、キャンプに適さない外気温の場合は、宿泊場所を変更するくらいのフレキシブルな考えかたが必要だと教えてくれました。

「最近大人気のオートキャンプで車中泊する人もいるでしょう。

 オートキャンプは区画ごとに利用するのが一般的ですが、外部電源でポータブルエアコンや扇風機などを使うならともかく、エンジンをかけっぱなしでエアコンを使用するのは騒音になりますし、一酸化炭素中毒の危険性も高まります。」

 車中泊するときに暑いからといって一晩中エンジンをかけてエアコンを稼働させるのはマナー違反ですし、そもそも多くの場合、キャンプ場の規約で長時間に及ぶアイドリングはNGとされています。

 そうなると、車中泊するための駐車場所を選ぶことも重要になるのだそうです。

「気温を下げるのにもっとも手っ取り早いのは、標高を高くするという手があります。ちなみに標高が100m上がると気温は0.5度下がるそうです。

 また標高が低くても路面が土などの未舗装路や、森や湖畔の近くなど風の通りがいいところでは気温が下がりやすいことも考慮して、車中泊する場所を選ぶと良いでしょう」(元4WD専門誌編集者 Tさん)

 とはいえ、現地の状況は行ってみないとわからないこともあり、予約したオートキャンプ場が思いのほか暑かったり、湿度が高かったりすることもありえます。

 そんな場合はどう対処すべきなのでしょうか。

「車内温度の上昇を抑えるべく、日中の直射日光からクルマを遠ざけておく対策は必要です。普段使用しているサンシェードなども、それなりに効果はあると思います」(元4WD専門誌編集者 Tさん)

 直射日光とそれにともなう気温上昇をいかに防ぐかということが非常に重要だといいます。

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 JAFは、軽ワゴンと大型SUVを用いて車内温度の上昇を比較する実験をおこなっています。

 小さいクルマのほうが車内温度が上がりやすいイメージがありますが、実際はフロントウインドウも大きい大型SUVのほうが車内温度の上昇は大きいという結果になりました。

 この結果を見ても、日中は日陰に停めたり、窓からの直射日光を遮る対策が必要だといえそうです。

車中泊で快適に過ごすために揃えておきたいアイテムとは

 それでは、車中泊の暑さ対策として、どのようなアイテムを揃えておくと良いのでしょうか。

「シェードやカーテンなど、直射日光を遮るものを用意しておきたいところです。すべての窓を覆うことができるシェードやカーテンがあればプライバシーを確保しやすいです。

 暑さ対策として窓を開けておくことを想定すると、窓の形状に合ったメッシュや防虫ネットなどもあると良いです。

 自作も可能ですが、わずかな隙間でも虫は入ってきますので、しっかり固定できる車種専用のメッシュやネットを購入するのが望ましいでしょう」(元4WD専門誌編集者 Tさん)

 また最近ではワンプッシュで数時間効果のある防虫剤なども販売されています。そういった通常のキャンプでも重宝するアイテムを併用すると、より快適に過ごせるそうです。

「あとは、直接、車内を冷やせる扇風機やポータブルエアコンなども便利なアイテムです。特に扇風機は、車内の空気を循環させるサーキュレーターの役割も担えますので、ぜひとも欲しいです。

 ただ、こういったキャンプ用のアイテムの多くはUSB電源になってきていますので、USB端子がない古いクルマでは使えないことがあります。

 そんなときは、USB端子付きの『ポータブル電源』を購入するのもおすすめです」(元4WD専門誌編集者 Tさん)

 最近、キャンプ好きでは定番アイテムとなってきているポータブル電源とは、充電式の大型モバイルバッテリーのようなものなのですが、冬用の車中泊でも使えますし、災害対策用としても重宝します。

 少々値段は張りますが、キャンプや車中泊する人は持っていても損はないと思われます。

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 車中泊では涼感タイプの寝具なども暑さ対策に有効だといいます。便利グッズを上手に活用することで、より快適な車中泊が可能になるでしょう。