2023年は「ジャパンモビリティショー」(東京モーターショーから改名)が開催されます。過去のモーターショーで話題を集めたモデルのなかから、日産「IDx」を紹介します。

シンプル・スポーティの2つのバリエーションが存在

 通常2年おきに開催されていた「東京モーターショー」。新型コロナウイルスの影響で開催を見合わせていましたが、名称を「JAPAN MOBILITY SHOW(ジャパンモビリティショー)」に変更し、2023年10月に再び開催されることになりました。
 
 そこで、過去の東京モーターショーで登場した話題のモデルを振り返り、2013年の第43回東京モーターショーで日産が出展した「IDx(アイディーエックス)」を紹介します。

 東京モーターショー2013で日産は、次世代のユーザーに向けたコンセプトカーを公開しました。それがFRスポーツカーの「IDx」で、次期「シルビア」ではないかと期待されたモデルです。

 開発のプロセスに、創造力豊かなジェネレーションZ(1990年代以降に生まれた世代)が積極的に参画する「コ・クリエーション(共同創造)」を取り入れ、新たな価値観を商品開発に反映しました。

 IDxはノッチバックの2ドアクーペで、デザインはシルビアと同じくFRクーペをラインナップしていた、3代目「ブルーバード」を思わせるクラシカルなもの。

 シンプルでカジュアルなライフスタイルに焦点を置いた「IDx フリーフロー」と、スポーティモデルの可能性を示した「IDx NISMO」というふたつのバリエーションが存在。

 IDx フリーフローは、ベーシックで素直なクルマの形とし、全長約4100mm×全幅約1700mm×全高約1300mmというコンパクトなサイズを実現。シンプルな面構成でありながら、落ち着きと品格が感じられるスタイルです。

 インテリアは、心地良さと実用性、ファッション性を兼ね備えています。

 水平基調のダッシュボードやシンプルな真円のステアリングホイール、その上に配置された、アナログ時計をアレンジしたセンターモニター、デニム素材のシートなど、センスの良いデザインが採用されました。

 パワートレインには、燃費性能と加速性能に優れた1.2リッター〜1.5リッターのガソリンエンジンとCVT(無段変速機)を搭載。乗車人数は4人です。

 一方のIDx NISMOは、レーシングカーのようなデザインを採用。逆スラントノーズやカーボン製パネル、サイドマフラー、エアロダイナミクススポイラー、19インチホイール&225/40タイヤなど、スポーティなスタイリングが特徴です。

 IDx NISMOの全長と全高はIDx フリーフローと同じですが、全幅は約1800mmと、より一層ロー&ワイドのプロポーションとなっています。

 室内は、レーシングカーをイメージする真っ赤なアルカンターラのシートや、スパルタンで精緻な計器類、金属の地肌とコントラストを見せる真っ赤なスエード調トリム素材にはブルーのステッチが施されました。

 パワートレインは、高性能な1.6リッター直噴ターボエンジンに、シンクロレブコントロールによるスポーティな走りが楽しめる6速マニュアルモード付CVTを組み合わせています。

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 IDxが公開された当時の反響が大きく、次期シルビアとして市販化が期待されましたが、実現することはありませんでした。

 一方、欧州日産は2021年10月、「日産における1960年代の象徴的なモデル『シルビア』を電動化させて未来に蘇らせたら」というテーマで、未来のシルビアのビジュアルデザインを公開しています。

 デザインはIDxをより現代風にアレンジしたもの。内燃機関を搭載したIDxとは異なり、未来のシルビアは電動車となって、まったく新しいパッケージングを採用するといいます。

 2002年のシルビア生産終了から20年以上が経過しましたが、復活を望む声はいまだに絶えません。次期シルビアの登場に期待したいものです。