クルマのナンバープレートに記載される「ひらがな」ですが、実は使われていない文字があります。

ナンバーに使われない「ひらがな」

 ナンバープレートには「ひらがな」が表示されています。
 
 しかし、その意味を理解している人は多くありません。また、ナンバープレートで使用されないひらがなもあるのです。

 クルマのナンバープレートは正式には「自動車登録番号標」と言います。

 上段には「品川」「横浜」といったクルマの使用本拠地を示す地名に加え、「300」や「530」「88」といったクルマの用途などを示す分類番号、下段にはひらがなと、1から9999までの一連指定番号が記載されています。

 そもそもナンバープレートは、自動車登録ファイルに登録されている事実や車検を実施して保安基準への適合可否を証明するものです。ほかにも、同じナンバーが存在しないことから1台ごとのクルマを見分ける証明物としても活用されています。

 同じクルマやボディカラーでもナンバープレートの表示を確認すれば、クルマの特定もしやすくなります。

 そして、ナンバープレートの登録識別を表すひらがなですが、使用されない文字があります。

 現代仮名遣いから除外された「ゐ」と「ゑ」を除いた46文字中、使われていない文字は「お・し・へ・ん」の4文字です。

 この4文字がナンバープレートに使用されない理由は、文字の見分けやすさが関係していると言われています。

 例えば、「お」は、「あ」と似ていて見た目の区別がつきづらい文字です。

 万が一事故や事件が発生した場合、目撃者にとってひらがなを見分けることが困難になれば誤認などさまざまな影響があります。

 ほかにも、ナンバープレートの発音のしやすさも使用されない理由として考えられます。

「ん」は発音がしづらく、電話越しで登録ナンバーの情報を話す際に聞き取りづらいという側面もあります。

 さらに「し」は「死」が「へ」は「屁」が連想され、あまりイメージがよくないという理由で使用されていないとされています。

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 ちなみに普通・小型乗用車の自家用車では「さ」から順に「る」まで用いられていますが、希望ナンバーを選ばずに文字が光るタイプの「字光式ナンバー」にすると、必ず「ろ」が付されます。

 また、タクシーやハイヤーなど普通・小型の営業用ナンバー(緑ナンバー)では「あ」から「こ」・「を」が用いられるなど、規則性を伴っています。

 同様に、軽乗用車の自家用車では「あ」から「る」・「を」が用いられています。

ひらがなだけじゃない! 「欠番」となった数字も

 さまざまな理由から、ナンバープレートには使われない文字がありますが、ほかにはどのようなものがあるのでしょうか。

 ナンバープレートの表記で、登録識別を表すひらがなに使用されていないのと同様に、数字にも使われないものがあります。

 乗用車のナンバーで使用されていない数字は「42」と「49」があります。これらの数字が使用されていない明確な理由はありませんが、語呂合わせで縁起が悪いという理由であるとされています。

 42は「死に」、49は「死苦」という俗語で、命に関わるような事故を起こす可能性もあるクルマに、「死」を連想させる表記は避けたいという理由で欠番になっているともいわれています。

 その一方で、海外のキリスト教圏では忌避される数字「13」は通常通り使用されます。

 ナンバープレートのほかにも、一部の病院やマンションで「4」や「9」、という数字を部屋の番号に使っていないという場所もあります。また、病院の4階に手術室や集中治療室を置かないというケースもあるようです。

 日本では数字の持つ意味を捉え、使用するかしないかを決める習慣があります。クルマのナンバープレートの数字を決める際に、不吉な数字は使わないことが好ましいと判断されているのかもしれません。

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 ナンバープレートのひらがなや数字は車体を区別するうえで重要な情報となりますが、そこには言葉や数字から連想されるものによって使用されないものもあります。

 一方で、最近では「花柄ナンバープレート」も用意されており、47都道府県を代表する花をデザインしたものが用意されているほか、「ご当地ナンバー」制度により、各地の観光地や特徴をデザインしたさまざまなナンバープレートを楽しむこともできます。

 単な文字列と思われるナンバープレートですが、これらの情報に隠された意味を知ることでまた違った楽しみが生まれるかもしれません。