日産は、2022年11月にフルモデルチェンジした6代目の新型「セレナ」で、後席のシートアレンジに配慮を加えたことで、車中泊での使い勝手を向上させたといいます。どの部分が変わったのでしょうか。

「寝心地」良くなった!? 新型で「変わった」点とは

 2022年11月に6年ぶりのフルモデルチェンジを実施した、日産の主力3列シートミニバン「セレナ」は、先進運転支援機能の進化や第2世代e-POWER搭載など多くの特徴をもちますが、「車中泊」ユーザーの使い勝手にも配慮を加えたといいます。
 
 先代セレナに比べ、どういったところを改良したのでしょう。

 新型セレナは現行型で6代目です。「家族のためのミニバン」という歴代モデルが培い支持されてきた、広く快適な室内空間や利便性という基本スタイルを継承。

 先進運転支援機能の性能向上や、第2世代のe-POWER(ハイブリッドシステム)を採用するなど、各部が進化を遂げています。

 そんな新型セレナでは、ファミリーユーザーに向けた様々な配慮が込められました。

 なかでも室内や荷室の使い勝手は、先代に比べさらに向上したといいます。

 リアゲートの全体を開けず、窓まわりの部分だけ開閉できる「デュアルバックドア」は先代から採用されたセレナ独自の装備ですが、新型では開口サイズを見直し、狭い場所での利便性を向上させました。

 同様に、2列目中央部を独立して前方へスライドすることで、左右に分かれた各席をキャプテンシートのように使うことが出来る「マルチセンターシート」は3代目から続くセレナ伝統の装備ですが、先代で追加されたe-POWERモデルには設定がありませんでした。

 しかし新型セレナでは、e-POWERモデルのバッテリー搭載位置などを変更したことで課題を克服し、採用を拡大したのです。

 そして車中泊ユーザーがもっとも気になるのは、新型セレナで「寝心地」がどう進化したのか、という点でしょう。

 日産では、2列目席と3列目席を倒し、フルフラットにした際の「フラットさ」にこだわったと説明します。

 実際に新型セレナの後席を確認してみると、2列目席の背もたれと3列目席の座面や背もたれの面が、ほぼまっすぐに保たれているのがわかります。

 トヨタ「ノア/ヴォクシー」やホンダ「ステップワゴン」といったライバルミニバンで同様のアレンジを試してみると、この部分にはそれなりに段差が生じるのです。

 小さな改善点かもしれませんが、車中泊ユーザーには見逃せない差といえそうです。

 なお新型セレナには、左右席が独立した2列目キャプテンシートタイプも設定されますが、2列目席には横スライド機構が備わります。

 左右席を中央に寄せれば、3人掛けシート同様の一体感で2列目・3列目席のフルフラット化が可能となります。

 ノア/ヴォクシーには同様の機能がなく、この点も新型セレナのアドバンテージといえます。

 とはいえ新型セレナも完璧ではなく、2列目席の背もたれ部と座面の間には段差が生じ、完全にフラットとはなりません。

 車中泊をする場合は、厚めのエアマットなどを用意し、段差を吸収する工夫をすると良いでしょう。

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 日産ではさらに、より本格的に車中泊を楽しむユーザーをターゲットにしたカスタムモデル「セレナ マルチベッド」もラインナップします。

 収納式のベッドセットをはじめとする車中泊ユーザー向けの専用カスタマイズを施したもので、3列目席を廃止し、より広い後部スペースを確保したうえで、2列目席の位置に縦2120mm×幅1320mmのセミダブル級の大型ベッドを展開するものです。

 主力グレード「ハイウェイスターV」「AUTECH」「XV」の3タイプに対応し、それぞれガソリンモデル(2WD/4WD)とe-POWERモデル(2WD)から選択できます。

 新型セレナ マルチベッドシリーズの価格(消費税込み)は、365万9700円から469万9200円までとなっています。