ミディアムクラスミニバンのホンダ「ステップワゴン」は、車中泊に欠かせない機能が備わっています。ライバルのトヨタ「ノア/ヴォクシー」にはない「装備」とは一体何でしょうか。
ライバル「ノア/ヴォクシー」にはない車中泊向きな「装備」とは
ミニバン購入を検討している人のなかには、「車中泊」してみたいと考えている人もいるでしょう。
今回はホンダ「ステップワゴン」で実際に寝転んでみて寝心地を確かめるとともに、車中泊に必要な機能やアイテムについて考えます。
ステップワゴンは、1996年の初代デビューから現在まで25年以上の長い歴史を重ねてきた、ホンダの主力ミディアムクラスのミニバンです。
2022年5月に登場した現行型で6代目。
ラインナップは、シンプルななかに上質さを狙った「ステップワゴン AIR(エアー)」と、力強さと品格ある佇まいを狙ったエアロモデル「ステップワゴン SPADA(スパーダ)」の2シリーズを用意し、ユーザーの選択肢を広げています。
外観デザインは初代を思わせる直線基調のクリーンなデザインとし、インテリアは歴代モデルで築いてきた「家族のための大空間」という価値を進化させました。
ホンダによると国内ホンダ車史上最大の室内空間を誇るといいます。
室内レイアウトは、外観イメージと共通する水平基調のノイズレスなデザインでまとめられています。
ドライバーの車両感覚をつかみやすくするほか、乗員の視野を安定させることで「乗り物酔い」を起こしにくくする効果もあるとホンダでは説明します。
そんなステップワゴンで車中泊をしたい場合は、寝床となる「ベッド」を用意する必要があります。
ミニバンには3列のシートが配置されていますが、そのうちの少なくとも前後2列分を倒し、1つのベッドのように一体で倒せばOKなので気軽です。
ただ近年多くのミニバンにおいて人気となっているキャプテンシート車は、セカンドシート(2列目)が左右独立していて、フラットなベッドを作りたい時には車中泊に不向きなレイアウトです。
ところがステップワゴンには、そんなギャップを埋める対策として「ワンアクションレバー」が備わり、左右のシートを中央側に寄せ、セカンドシートを一体化してくれます。
これはライバルのノア/ヴォクシーにはない装備で、車中泊ユーザーにはステップワゴンを選ぶ大きな理由となるでしょう。
なお6代目ステップワゴンのシート表皮には「撥水撥油加工」が施され、汚れの掃除もしやすい素材となっており、こうした細部の仕上げもアウトドア派には嬉しい装備といえます。
各席のヘッドレストをあらかじめ外し、寄せられたセカンドシートとサードシート(3列目席)をともに倒して一体化すれば、大きなベッドの完成です。
ただしそのままの状態では各々のシートに凹凸があり完全にフラットな状態とはならず、仮眠程度でも少し気になるほど。
より快適な睡眠を確保するためには、空気で膨らむタイプのキャンプ用マットなどを敷くことが必須となります。
レトロ風味が「めちゃオシャ」! 特別なコラボ「ステップワゴン」とは
2023年3月、ホンダはキャンプ用品ブランド「DOD(ディーオーディー)」とのコラボレーションにより実現した「ウサップワゴン」を発表しました。
DODがデザイン監修を行い、ステップワゴン エアーをベースに「もっと外に行きたくなるクルマ」をテーマに製作されたといいます。
DODは「子供みたいに圧倒的な遊び心を持ち続けることで、良い意味でクレイジーな大人を増やし、オフの時間から世の中をゆるくすること」をミッションとする、近年注目を集めるアウトドアブランドです。
そんな、他のアウトドアブランドとはちょっと違うテイストを特徴とするDODが仕上げたウサップワゴンはどのようなクルマなのでしょうか。
まずボディカラーをDODのブランドカラー「DODタン」に塗り替えたほか、ワンオフで製作したルーフキャリアやリアラダーなどを装着しています。
フロント/リアバンパー、ドアミラー、ドアノブをブラックアウトし、ベース車ではシルバーメッキ仕上げのヘッドライト上部もブラック化。
本来設定されていないホンダ純正スチールホイールにヨコハマタイヤ製のオフロードタイヤ「ジオランダー」を組み合わせ、アウトドアシーンにも似合うスタイルとしました。
SUVのようなハードなイメージとともにどこかレトロな印象もあり、ベースのステップワゴン エアーとはまた異なる新たな世界観を提示するのに成功しているといえます。
一方でインテリアについては今回、大きく手が入っていません。
残念ながらウサップワゴンは1台限りのコンセプトモデルですが、同仕様のステップワゴンが欲しいという声は、SNSなどでも見られます。
ホンダの担当者はウサップワゴン発表時、次のように話しています。
「DODのブランドコンセプト『Stay crazy』の、クルマをクレイジーというのが楽しむという意味に加え、それぞれの商品が人に寄り添うという点もホンダのクルマづくりにも通じるものがあり、今回コラボレーションすることに至りました。
今回はまだ見た目だけのコラボとなっていますが、今後DODやホンダのSNS上でユーザーからの要望を受けながら、アイテム展開が出来ればと思っています」
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2023年10月には、これまでの自動車イベント「東京モーターショー」に代わる新たな取組みとして「JAPAN MOBILITY SHOW 2023 (ジャパンモビリティショー)」が東京ビッグサイト(江東区)で開催されます。
2023年9月現在、ホンダなどからのアナウンスはありませんが、会場でDODとのコラボにまた新たな取り組みが明らかになるのか、大いに期待されるところです。