2023年秋頃、レクサスは高級ミニバン「LM」を国内に導入する予定です。2列・4人乗りの超豪華仕様がウリのひとつですが、日産ではすでに1998年から同様のVIP仕様をラインナップしていました。
レクサスを迎え撃つ日産の「超豪華VIPミニバン」!
レクサスは2023年4月、高級ミニバン「LM」の2代目モデルを発表しました。海外専用モデルだった先代とは異なり、新型は2023年秋頃に日本にも導入する予定だといいます。
新型LMでは、2列シート・4人乗りの超豪華仕様も用意されるといいますが、こうした仕様はレクサスの専売特許ではありません。日産は元祖高級ミニバンの「エルグランド」で、初代や現行型に同様の仕様をすでに設定していました。
1997年5月、高級ミニバンの元祖として登場した初代エルグランド。
そのわずか8か月後の1998年1月、日産車のカスタムカーを手掛けるオーテックジャパン(現:日産モータースポーツ&カスタマイズ/以下NMC)が日産と共同開発で生み出したのが「エルグランド ロイヤルライン」でした。
後部座席は、航空機のファーストクラスを思わせる専用の電動VIPシートを2つ揃えた4人乗り仕様で、フロントシート後部には大型のキャビネットを装備しています。
右側の座席は執務席とされ、ノートパソコンを設置できる電源付きのケーブルや書類収納スペース、ビデオデッキに後席専用オーディオが備わります。
一方、左側の座席はくつろぎの席で、テレビやフットレストが揃い、オプションでオットマンやシートヒーター、本革シート仕様も設定できました。
後部の荷室部分はパーティションで客室内と仕切られていたほか、各部の遮音材も加えられ静粛性にも配慮。
さらに足回りも快適な乗り心地にチューニングされた専用のセッティングとなっているなど、エルグランド ロイヤルラインは全体にかなりこだわったVIP仕様であることがわかります。
現行「エルグランド VIP」にはマル秘の特別架装メニューもある!?
一方、2010年にフルモデルチェンジした3代目(E52型)でも、3列シート配置が当たり前のミニバンでは珍しい2列・4人乗りという贅沢なレイアウトを設定しました。
各界のVIPから根強い支持を集める、その名も「エルグランド VIP」は、2023年9月現在もカタログラインナップに用意されている定番グレードとなっています。
2代目までは縦置きエンジン+後輪駆動ベースのプラットフォームでしたが、3代目エルグランドは横置きエンジン+前輪駆動の新開発プラットフォームに刷新され、低床化や低重心化による走行性能の大幅な向上が図られています。
そのラインナップのトップに位置するのが前述したエルグランド VIPです。
コンセプトは「エグゼクティブのための走る執務室」で、通常の3列シート・7人乗り仕様も用意されていますが、後席を大型の2人がけシートヒーター付きパワーシートにした2列シート・4人乗り仕様がメイン仕様といって良いでしょう。
ギャザーを施した本革シートや後席の読書灯、100V電源、ツインサンルーフなどを備えた豪華仕様で、初代エルグランド ロイヤルラインも手がけたNMCが同様に特装を担当しています。
NMCではエルグランド VIPに、さらなる特別装備の架装といったユーザーの個別注文にも対応しているとしていますが、ユーザーのプライバシーを理由に、詳細な仕様については明かしていません。
実際にどのような超贅沢仕様が存在しているのか、興味は尽きません。
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日産は2021年5月、このエルグランド VIPをベースに、クルマの移動中に快適なWeb会議ができる「移動会議室」の実証実験を開始しています。
通常のエルグランド VIPにはない、遮音壁によるパーティションを前後席の間に設置し、32インチの大画面ディスプレイを搭載したり通信環境などを整備することで、車内で移動中のリモート会議なども行えるようにしたものです。
前述のNMCによるエルグランド VIPの特別架装メニューのなかに、実際にこうした仕様のラインナップがあるのかどうかは不明ですが、その仕上がりの完成度の高さから見ても、大いに期待したいところです。