「ジャニーズ事務所」の創業者の性加害問題で、所属タレントを広告などに起用しないという企業が増えていますが、これまでのクルマのCMには多くのジャニーズタレントたちが出演していました。どのようなCMがあったのでしょうか。
1980年代の「たのきんトリオ時代」から数多くCM出演!
最近はワイドショーだけでなく、通常のニュース番組でも取り上げられるなど、創業者による性加害報道で揺れる「ジャニーズ事務所」。
何十年にもわたり、所属する男性アイドルがドラマや映画、CMに出演してきましたが、クルマのCMにも数多くのジャニーズタレントが起用されていました。
どのようなCMがあったのでしょうか。
●日産「マーチ」
ジャニーズタレントが出演したクルマのCMとして印象的だったのが、日産「マーチ」です。
1980年代初頭はVW「ゴルフII」を筆頭にコンパクトハッチ全盛時代で、日産もデザイナーにジョルジェット・ジウジアーロを起用するなど、かなり力の入ったモデルとして誕生。まだ高度経済成長期でしたが、若者がクルマで遊びに行くことに熱中しはじめた時代でした。
芸能界もアイドル全盛時代。なかでも「たのきんトリオ」と呼ばれたユニットで人気を獲得しており、その後ソロデビューで地位を確立した近藤真彦氏が初代マーチのCMに出演しました。
近藤真彦氏は「マッチ」の愛称で大人気アイドルとして君臨しており、マーチと名前が似ていることもあって、名キャッチフレーズ「マッチのマーチ」が付けられ、クルマの知名度の向上に大いに貢献しました。
●ダイハツ「シャレード」
1980年代に近藤真彦氏と人気を二分していたビッグスターといえば、「トシちゃん」こと田原俊彦氏です。
たのきんトリオとしては最初にソロデビューしてスターダムへとのし上がった田原氏ですが、クルマのCM出演は完全にソロアーティストとして人気絶頂になってから。
それがバブル前夜とも言える1987年に3代目へと進化したダイハツ「シャレード」です。
すでにバブル景気の雰囲気が漂う日本では女性の社会進出が本格化しており、「よく働きよく遊べ」的な風潮もあって、シャレードは「セクレタリー・カー」と呼ばれる女性向けジャンルにターゲットを変更。
当時OLを中心とした女性層に人気の高かった田原俊彦氏をイメージキャラクターとして起用し、女性向けイメージを前面に押し出す販売戦略でした。
日産CM出演のキムタクもかつては「トヨタ派」だった!?
●トヨタ「プログレ」
1982年に結成された「シブがき隊」ではバリバリのアイドルとしてデビューした本木雅弘氏ですが、1988年に解散後すぐにジャニーズ事務所を退社、俳優へと転身しました。
本木雅弘氏(モッくん)は、端正で知的なルックス、均整の取れたスタイル、そして何より力強い眼光と優れた演技力で、あっという間に日本有数の人気俳優に。
そんなモッくんが夏目漱石をモチーフにした学者役で登場したのが、トヨタ「プログレ」のCMです。
ラグジュアリーな高級車として開発されたプログレは、全長4500mm×全幅1700mm×全高1435mmとほぼ5ナンバーなボディに2.5リッター/3リッターエンジンを搭載。
「クラウン以上のセルシオ品質」といわれ、装備や塗装、吸音材にまでこだわった意欲作でした。
●スズキ「ソリオ」
現在の軽自動車はハイトワゴンやスーパーハイトワゴン全盛ですが、この流れを作ったのは1993年に登場したスズキ「ワゴンR」です。
そして、ワゴンRの幅を拡大し排気量アップした小型車版が「ワゴンR+」であり、さらなる進化系として「ソリオ」が現在も販売されています。
そんなソリオの2代目モデルのイメージキャラクターとして登場したのが、5人組となった時代のKAT-TUN(カトゥーン)でした。
人気者の起用という面に加え、乗車定員が4人乗りの軽自動車とは異なり、小型車のソリオは5人乗り仕様だという優位性を暗に示したものでもあったのです。
そして、2015年にソリオが3代目へフルモデルチェンジするタイミングで、CMキャラクターが同様に当時5人組だったTOKIO(トキオ)へと変更しています。
ソリオは全長3710mm×全幅1625mm×全高1745mmのボディに1.2リッターエンジンを搭載。のちにはマイルドハイブリッド、ハイブリッドモデルも追加され、環境にも乗る人にも優しいコンパクトミニバンとして、4代目となった現在でも人気車種になっています。
●トヨタ「カローラフィールダー」
今、ジャニーズタレントのクルマCMでもっとも有名なのが「やっちゃえ日産」シリーズの木村拓哉氏。かつては、トヨタの主力モデル「カローラ」から派生した「カローラフィールダー」のイメージキャラクターとして活躍していました。
今も幅広い層から支持の熱い木村拓哉氏ですが、1990年代〜2000年代は無双状態。所属グループ「SMAP」は国民的人気となり、個人でも「月9」現象を引き起こした立役者として出演作品が大ヒット。現在でも高い人気を誇っているスーパースターです。
そんな木村氏がイメージキャラクターとなったカローラフィールダーは、もともと大衆車だったカローラのワゴン版である「カローラツーリングワゴン」が進化したモデル。
大衆車のイメージを払拭すべく、2代目だけでなく3代目でも木村拓哉氏が起用されました。
前述のように、現在木村拓哉氏は日産のCMに出演していますが、同社はジャニーズ事務所の所属タレントとの新たな広告・販促契約などを行わないとの方針を示しています。