タクシー不足を背景に「福岡市では以前、普通免許でタクシー乗務ができる『特区』の設置要請をする」と報じられましたが、現在はどのような方針なのでしょうか。

 国内でのタクシー不足が叫ばれる中、政府はライドシェアの導入について検討しています。
 
 このタクシー不足を背景に「福岡市では以前、普通免許でタクシー乗務ができる『特区』の設置要請をする」と報じられましたが、現在はどのような方針なのでしょうか。

 国内のあらゆる地域で、タクシー不足の声が聞かれます。

 一般社団法人全国ハイヤー・タクシー連合会が公表している資料によると、令和3年度(2021年度)のタクシー運転者数は22万1849人であり、平成25年度(2013年度)の34万4631人以降減少が続いています。

 これはタクシー運転手の平均年齢が58.3歳と全産業と比較して高齢化が進んでいるほか、新型コロナによって収入が減少し離職する人が増えたことなどが影響しているとみられます。

 しかし最近では再び人の移動が増加したことにより、タクシーの台数が需要に追いつかず、タクシーを利用しにくくなっている地域も全国に存在します。

 国はこの問題を解消するため、一般の人(個人)が自家用車で客を運ぶ「ライドシェア」の導入を検討していますが、ライドシェアはタクシーの運転に必要な二種免許ではなく普通免許で運転できることから、安全性に疑問が持たれています。

 またライドシェアでは、万が一交通事故が発生した場合の責任問題や、ドライバーの飲酒・労働時間などのチェックがおろそかになる可能性も指摘されており、タクシー事業者からは反発の声が多く寄せられています。

 そのような中、たびたびタクシー不足が話題にのぼる福岡県福岡市においては2023年9月、「普通免許でタクシー乗務を可能とする『特区』の設置を国に要請する方針」との報道がなされましたが、現在はどのような方針なのでしょうか。

 福岡市の担当者に確認したところ、特区の設置について「そのような事実はない」との回答がありました。

 ただしタクシー不足に対する福岡市のスタンスに関しては、2023年11月13日に開催された内閣府の「規制改革推進会議 第2回地域産業活性化ワーキング・グループ」の中で高島宗一郎市長が説明しています。

 福岡市の資料によると、福岡都市圏ではタクシー運転手がコロナ禍前と比較して約2割減少したほか、車両の稼働率が約6割にとどまっています。そのため、特に雨の日やイベント開催時、帰宅時間、夜間などはタクシーがつかまらない事態が発生しています。

 高島市長はさまざまな自治体からライドシェア・規制緩和を求める声が上がっている状況を説明したうえで、ライドシェアの課題として「安全性」と「タクシー業界との共存」を挙げています。

 まず利用者の安全性については、事故の責任の所在や運転手の資格・健康管理などが問題となります。

 そのため、法改正にあたってライドシェアの定義を明確にすること、万が一の事故のときにはプラットフォーマー(事業者)と運転手が補償する旨を規定することが肝要という考えを示しました。

 さらに高島市長はタクシーとライドシェアの共存にはタクシーの規制緩和が必要だとも説明しています。

 現在タクシーの運転手になるためには二種免許の取得はもちろん、細かい地名を暗記しなければならない「地理試験」が必要になる地域もあるなどハードルが高い状況です。

 そのような事情から、タクシーとライドシェアの双方が対等の立場で競争できるようにするには、タクシーの地理試験廃止や二種免許の効率化といった規制緩和は不可欠といえます。

 高島市長は総括として、タクシー不足は全国的な喫緊の課題であり、法改正の準備を進める必要があること。

 またライドシェアの安全性やタクシー業界との共存などは各地域に任せるのではなく、国で全国統一のルールを示すことが必要と述べています。

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 タクシー不足に悩む福岡市では、まず国の方でタクシー不足解消の方策を議論することが重要との考えを示しています。

 観光地と過疎地のように、地域ごとにタクシー不足の原因が異なるケースもあるため、今後は政府が各地域の実情を汲み取り、新たなルールづくりに活かすことが求められるといえるでしょう。