タイヤのメンテナンスにおいて大切なのは空気圧のチェックです。空気圧は「少し高め」を推奨されることが多いのですが、それはなぜなのでしょうか。また、どれくらい高めにしておくのが良いのでしょうか。

なぜ空気圧はちょっと高めが良いとされるのか?

 クルマと路面をつなぐ唯一の接点として、タイヤは非常に重要な役割を担っています。
 
 そんなタイヤのメンテナンスにおいて大切なのが「空気圧」です。

 安全に走行するためにも、ドライバーはタイヤの空気圧を気にしておく必要があり、その目安としてメーカーは各車種に対して「指定空気圧」を設定しています。

 指定空気圧は主に運転席側のドアを開けたピラー部分に刻印されたプレートで表示されており、この数字の空気圧を適正レベルとし、状況に応じて増やしたり減らしたりという判断をします。

 空気圧チェックや補充はガソリンスタンドなどでできますが、そのときGSスタッフに「少し高めにしておきますか?」といわれた経験がある人もいるでしょう。

 なぜメーカー推奨の指定空気圧よりも少し高めに設定しておくのが良いのでしょうか。

 タイヤに詳しい現役整備士のT氏にその理由を聞いてみました。

「タイヤはその構造上、少しずつ空気が抜けていくものです。

 バイクや自転車でも同じですが、重量があるクルマの場合は、空気圧が1か月で約5%程度低下(抜けて)してしまうと言われています。

 そして街を走る乗用車の4台に1台が空気圧不足とも言われているのです」

 月に5%程度減少ということは、半年で30%近くも低下してしまうことになります。月に何度か給油はしても、タイヤの空気圧チェックはそこまで頻繁にしていない人が多く、空気圧不足のまま走行している可能性が高いでしょう。

「メーカーが推奨する指定空気圧のレベルに保つことは重要なのですが、実際は空気圧チェックを頻繁にしていない人が多く、そのため空気が少しずつ減ることを想定して、少し高めを推奨することが多いようです」(T整備士)

 クルマに1人で乗るのか多人数なのか、荷物の積載の有無などによって車重が変わり、空気の抜け方も変化します。

 また、空気圧は外気温にも影響され、外気温が10℃違うと空気圧も10kPa(キロパスカル・国際単位によって定められた圧力表示基準)下がるとされています。

 そのため、季節の変わり目には空気圧をチェックするのが大切だといえます。

 では、空気が減っていくことを想定して、あらかじめかなり高めに設定しておくことは可能なのでしょうか。

「タイヤの空気は、外側からの荷重に対して衝撃を吸収し踏ん張る役目を果たしています。空気圧は高めが良いとは言われますが、高ければ高いほど良いわけではありません」(T整備士)

 T整備士は、空気圧を高めることにはメリットとデメリットがあるといいます。そのうえで、一番のメリットとして考えられるのが「燃費の向上」です。

「空気圧が高ければタイヤは丸く膨らんで硬くなります。タイヤの接地面積も小さくなるので、それだけ転がり抵抗が小さくなり、燃費が向上する可能性は高いでしょう。

 その反面、タイヤが膨らむと接地面積が減り中心部だけ摩耗する『偏摩耗』が起きやすくなりますし、接地面積が減ることで摩擦力も減少するので、制動距離も長くなってしまいます。

 さらに、硬くなるということは衝撃を吸収しにくくなるため、路面のギャップを拾いやすくなって乗り心地が悪化します」(T整備士)

 ただし先述したように、気温の変化によって空気圧も変化します。こういった複合的な要因を考慮すると、「指定空気圧+10kPa、または1割増し程度」とするのがベストな空気圧だといえそうです。

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 タイヤは空気圧が低下すると車重でへこんでかなり危険な状態になります。そして走行中にバーストするなどの事故が発生する可能性があります。

 そうならないためにも、月に1度は空気圧をチェックするように心がけましょう。