自動車大手は22日、2023年春闘の労使協議を進めた。最大手のトヨタ自動車や2番手のホンダが賃上げや年間一時金(ボーナス)の要求に満額回答した。ホンダは基本給を底上げするベースアップ(ベア)として、月額平均1万2500円の要求に応じた。日本の製造業を代表する自動車業界は裾野が広く、大手が早期に積極的な姿勢を相次いで打ち出したことで、中小企業を含む業界全体や他産業へ賃上げの機運が波及することが期待される。

 トヨタの満額回答は3年連続で、早期に賃金が決着するのは2年連続。労働組合は物価高を踏まえ、1人平均の賃上げ要求額が過去20年で最高水準だと説明している。年間一時金は6.7カ月分を求めていた。

 トヨタによると、4月に社長に就任する佐藤恒治執行役員が要求通りとする回答を伝えた。佐藤氏は「産業全体への思いをもってこのタイミングでの回答とした」と語った。豊田章男社長は協議を佐藤氏ら新経営陣に委ねるとして欠席した。

 ホンダのベア回答は会社側が確認できる1990年以降、最高額になる。