日銀総裁候補の植田和男氏(71)は24日、衆院議院運営委員会の所信聴取で「金融緩和を継続し、経済をしっかり支えることで企業が賃上げできる環境を整える」と表明した。物価上昇率を2%とする政府と日銀の目標を維持した上で「持続的な形で物価の安定を実現したい」と語った。植田氏が総裁に就任予定の4月9日以降も金融緩和が続く見通しになったが、大規模な緩和策の副作用を考慮し、修正する可能性を否定しなかった。
植田氏は元日銀審議委員で経済学者。政府が14日に2人の副総裁候補と合わせて衆参両院に人事案を提示した。人事案は3月上旬〜中旬に両院の本会議でそれぞれ採決され、両院が同意すれば内閣が任命して就任する。
植田氏は政府の人事案提示後、金融政策に関する見解を初めて公式に表明した。物価上昇率が4%を超す現在の歴史的な物価高は、食料や資源の価格高騰に伴う「一時的な上昇」と指摘し「2023年度半ばにかけて2%を下回る水準に低下する」と予測した。
賃金増を伴う形で物価が2%上昇する経済の好循環には「なお時間を要する」とした。