日銀の植田和男総裁は19日、東京都内で講演し、新型コロナウイルス感染症が経済や物価に与える影響は低下しているものの、海外経済や金融市場を巡る不確実性が高いとして「粘り強く(大規模な)金融緩和を継続していくという姿勢は不変だ」と強調した。

 今春闘の高い賃上げなどで、2%の物価上昇目標が安定的に実現する可能性があると指摘。植田氏は「拙速な政策転換で、ようやく見えてきた2%達成の芽を摘んでしまうコストは極めて大きい」として、「金融緩和の修正は時間をかけて判断することが適当だ」と語った。

 金融緩和策の検証を行う意義については、「効果と副作用に分析の余地が相応に残っている」と説明した。