資産運用会社のセゾン投信(東京)が5月31日の取締役会で、創業者で最高経営責任者(CEO)の中野晴啓会長を退任させる人事を決めたことが1日分かった。28日の株主総会で正式決定する。

 関係者によれば、顧客本位で堅実な積み立てを目指す中野氏に対し、親会社クレディセゾンの林野宏会長がセゾン投信の投資信託の販売拡大を主張し、路線対立があったという。事実上の更迭とみられる。

 中野氏は「お客さまのために誠心誠意、職務を全うしてきたので不本意な退任だと思っている」と述べた。クレディセゾンは「コメントできることはない」としている。

 中野氏は国内で長期積み立て投資を普及させた草分け的な存在。金融庁の有識者会議のメンバーも歴任し、同庁からの信任も厚い。5月には投資信託協会が6月30日付の次期副会長に中野氏を内定している。

 セゾン投信は、顧客に投信を直接販売し、顧客リターン重視の運用を実践してきた。顧客は15万人超に及ぶ。突然の退任に、中野氏を信頼して投資した顧客や資産運用業界にも衝撃が広がりそうだ。