警察に勾留された容疑者らの処遇改善を目的に都道府県警に設置されている第三者機関「留置施設視察委員会」の約6割に当たる30委員会が、新型コロナウイルス感染拡大を理由に、主に2020、21年度の視察回数を減らしていたことが1日、共同通信の調査で分かった。昨年12月に勾留中の男性が死亡する事件が起きた愛知は20、21年度とも一度も視察していなかった。岩手と静岡、大阪は20年度の視察がゼロだった。

 感染防止という事情はあったものの、留置施設運営の透明性を確保し、被留置者の処遇改善につなげるという本来の目的を十分に果たせていなかった可能性がある。

 30委員会のうち愛知など12委員会は、警察官が視察を代行して委員会に書面で報告したり、警察官が撮影した施設内の映像を委員に見せたりといった代替措置を取ったが、識者からは実効性を疑問視する声が出ている。残る18委員会は代替措置も講じていなかった。

 調査は1月に実施した。委員会は刑事収容施設法に基づき設置され、委員は弁護士や医師が務める。全国に51ある。