東日本大震災と東京電力福島第1原発事故は11日、2011年3月の発生から12年となった。地震発生時刻の午後2時46分、各地で遺族らが黙とうした。岩手、宮城、福島3県をはじめとする被災地で追悼行事が開かれ、悲しみを抱えながらも体験を継承し「未来の命を守る」と誓った。高齢化で存続の岐路に立ち、十三回忌の今年を区切りに行事を終えた遺族会もある。
岸田文雄首相は福島県主催の追悼式典に出席し「福島の本格的な復興・再生、東北の復興に、全力を尽くす」と述べた。インフラ整備が完了に近づく一方、災害公営住宅で孤独死が増えるなど被災地の困難は続く。今年は原発処理水の海洋放出も始まる見込みだ。
福島市で開かれた県主催式典の遺族代表、宮口公一さん(65)は南相馬市で父母を津波で亡くした。原発事故で捜索が打ち切られ、遺体発見に時間を要した。「『無念』は今も心に深く重く横たわる」と語った。
岩手県釜石市では県と市の合同追悼式が開かれた。宮城県は追悼式を実施せず、仙台市や石巻市など5市町が式典を開催した。