南西諸島が「防衛の空白地域」になっているとして、防衛省が進めてきた陸上自衛隊の部隊配備が大きな節目となった。沖縄県・石垣島(石垣市)に16日、陸上自衛隊石垣駐屯地が開設。今回で「空白は解消した」とするが、昨年12月改定の安全保障関連3文書に基づき、台湾有事を念頭にした増強策は今後も続く見通しだ。
反撃能力(敵基地攻撃能力)に用いるミサイルを配備する可能性もある。地元からは「地域の緊張を高め、不測の事態が生じる懸念を持っている」(玉城デニー沖縄県知事)との声が上がる。有事の住民避難など国民保護の対応強化も課題となる。
鹿児島県から日本最西端の沖縄県・与那国島まで千キロ以上に及ぶ南西諸島では、長い間、沖縄本島以外に陸自部隊がなかった。中国の軍事的台頭を背景に民主党政権の2010年、防衛力整備の指針「防衛計画の大綱」で「自衛隊配備の空白地域」と位置付け、部隊配備を明記。自民党政権の13年の大綱でも、南西地域の防衛強化を打ち出した。
石垣駐屯地は定員約570人。警備部隊やミサイル部隊を置く。