日本でまだ発生事例のない家畜伝染病、アフリカ豚熱(ASF)を巡り、政府が海外からの侵入に警戒感を強めている。新型コロナウイルスの入国規制緩和で訪日客らの移動が活発化し、侵入リスクが高まっているためだ。有効なワクチンがなく、国内にウイルスが入り込めば畜産業界に甚大な被害をもたらす恐れがあることから、空港などの水際対策の徹底で脅威を食い止める考えだ。

 アフリカ豚熱は、国内で発生が相次いだ豚熱(CSF)とは別の病気で、致死率がより高い。近年はアフリカや欧州の一部で拡大し、アジアでは2018年に世界最大の養豚国である中国で初めて発生。東アジアで発生していないのは日本と台湾だけだ。