8日に解任されたウクライナ軍のザルジニー総司令官は、軍を上意下達の旧ソ連型の組織から機動力のある欧米型に脱却させ、東部戦線ではロシアを退却させるなど数々の戦果を上げた。「鉄の将軍」として国民の信頼は厚く、将来の大統領候補の一人とも目される。

 南部オデッサの陸軍士官学校を卒業し、2014年以降は、東部ドンバス地方で親ロ派武装勢力との戦闘を指揮。北部作戦司令部の司令官などを歴任した。21年7月、48歳の若さで軍総司令官に就任した。異例の抜てきを決断したのはゼレンスキー大統領だった。

 キャリアを通じて取り組んできたのが、軍の組織変革だ。一部将官だけが決定権を握る旧ソ連式から、前線の指揮官に権限を与えて臨機応変に兵力を動かすNATO型への移行を推進した。

 22年2月、侵略を始めたロシア軍は首都周辺まで進軍したが、ウクライナ軍は敵の補給路を遮断するなどして首都防衛に成功した。同年秋に東部ハリコフ州の大半を電撃的に奪還し、南部の拠点ヘルソン市も解放した。

 政治的野心を口にしたことはなく、国民の人気は高い。