大津市消防局で32年間働き、昨秋に一線を退いたジープ型の消防車両が、同市真野2丁目の市北部地域総合消防防災センターで展示されることになった。昭和の趣を残す車両は大人から子どもまで幅広い世代に親しまれ、長年の労に報いようという署員の熱意で、廃車から一転、保存の道を歩む。新たな活躍の舞台を与えられ、今後も引き続き見学者を楽しませる。

 同消防局が1983年に導入したダイハツの四輪駆動車「TAFT(タフト)」。工具を積み、消防車両の緊急修理などに駆け付ける「局装備1号車」として活動した。内規で15年を過ぎると更新対象となるが、故障がなかったことや救急車やポンプ車などの買い替えが優先された。現場で働き続けた走行距離は地球7周分の28万キロに達した。

 同型の消防車両は「全国に2、3台しかないはず」(市消防局)といい、全国から写真を撮りに来るファンもいた。消防車の活躍を描いた絵本「しょうぼうじどうしゃ じぷた」に登場する車両にもそっくりなことから、子どもから「じぷた号」と呼ばれていた。

 しかし、装備1号車は昨年9月に車両更新が決定。内規で廃車するところを、大津北消防署の堀広哉署長(58)が「ぜひうちで飾りたい」と手を挙げた。署員有志が子どもたちにも実際に乗って楽しめるよう、これまでの整備専門の車両からホースなどの消火設備を取り付け、サイレンや赤色灯を使えるように配線して「化粧直し」した。

 このほど開かれた除幕式では、招待された地元の園児約250人が歓声を上げて車両に乗り込んだ。市消防局警防課の中瀬祐介装備係長(38)は「本当に人気のある車で廃車はもったいないという声をずっと聞いてきた」。堀署長も「縁の下の力持ちとして頑張ってくれてありがとう」と目を細めた。