全国の高校野球監督の有志が集まるグループで、彦根東高(滋賀県彦根市)野球部前監督の今井義尚さん(57)=大津商業高校長=が代表を務める「一歩を越える会」が発足4年目の集大成として行った座談会がこのほど、本にまとまった。タイトルは「甲子園監督」(池田書店)。2度の全国制覇を誇る日大三高(東京)の小倉全由監督ら名将7人が監督としての葛藤や苦悩を熱く語る。4年ぶりの甲子園で7日に初戦を迎える彦根東高が実践してきた文武両道の底流も読み取れる。

 7人は今井代表と小倉監督のほか、昨夏全国優勝した作新学院高(栃木)の小針崇宏監督、清峰高(長崎)を全国の頂点に導いた吉田洸二監督(現山梨学院高)ら。今年1月に大津市で座談会を行い、旧知の監督同士が本音で語り合った。

 20のテーマに分けて語られ、「2回裏 エースと4番」「3回裏 家族関係」などと独特の仕立て。「保護者」「学内業務」などあまり語られてこなかった切り口のテーマもある。春夏通算19度の甲子園出場を誇る小倉監督は「何年監督やっても自分はだめ。負けた時は自分が立ち上がれない」と心情を吐露。家族関係の章では、自らが離婚し父子家庭で野球と子育ての両立に悩みながら現場に立つ指導者の独白もある。

 2009年春に彦根東高を56年ぶりの甲子園に導いた今井代表は「目標を持って努力する中で、進学でも『行きたい大学』にチャレンジする傾向が目立ってくる。浪人しても恐ろしく学力が伸びる子が増えてきた」と意識付けの大切さを強調する。

 同会は今井代表が親交のある指導者に呼び掛け、14年に発足。滋賀、京都の監督を中心に100人近くが大津に集まり、泊まり込みで議論してきた。今井代表は「甲子園に出るような監督でも日々苦悩と戦っている。若い監督や野球以外の競技の指導者にも参考になるのでは」と話す。

 大津市在住のフリーライター吉村淳さんの編。288ページ、1296円。