観光客の増加によって生じている課題を解決するため、京都市が2018年度から、新たな財源として「宿泊税」を導入する見通しとなった。市の有識者委員会が7日出した答申で制度創設を提言し、門川大作市長が9月市議会に条例案を提案する考えを示した。市民の暮らしと観光振興の両面から、効果的な制度を確立できるかが問われる。

 答申では、旅館やホテルだけでなく、住宅を使う「民泊」も含めた全ての宿泊施設の利用者に負担を求め、宿泊料金が高額になるほど税額が高くなる方式を提言した。税額は明示していないが、市は先行している東京都と大阪府が1人1泊100〜300円としている例を参考に検討する。

 東京や大阪では課税していない宿泊料金1万円未満の客にも負担を求めるが、修学旅行生は免除する方式で、京都独自の制度となる。条例案が9月議会で可決されれば、総務相の同意を得るための協議、周知期間を経て導入される。

 制度設計では、公平な徴収の仕組みと使途への理解が大きな課題となる。

 徴収で難しいのは、無許可営業が横行している民泊の対策だ。7月から、国家戦略特区内の「特区民泊」と、簡易宿所を課税対象に加えた大阪府の税部門の担当者は「認定や許可のある施設のみ徴収している。無許可営業の対策は別の話」としている。

 だが、京都市は東京や大阪に比べて宿泊施設に占める簡易宿所の割合が高く、民泊に関する市民の苦情も多いといった実態がある。民泊の営業基準を定め、届け出制で業者を把握する民泊新法(住宅宿泊事業法、6月に成立)の施行を見据えた対策の強化が欠かせない。市税制課は「観光、衛生部門との連携で、無許可も含め民泊を指導していく」と強調する。

 使途については、市議会から意見が相次いでいる。宿泊税の導入そのものに目立った異論はないが、観光振興だけでなく、交通渋滞やごみ処理など、「市民負担の軽減に活用を」と求める声が強い。有識者委の田中治委員長(同志社大教授)は、自らが大阪府の制度設計に携わった際の議論と今回の違いについて、「市民と入洛客の双方が満足し、魅力ある都市をどうつくるかという視点が強かった」と振り返り、市民の関心の強さを強調した。

 「古都税廃止」から約30年を経て、観光客を対象とした新税が導入されることになる。田中委員長は答申提出後、取材に対して「税を導入すれば課題が自動的に解決するのではない。市民の意識、行政の取り組みが複合的に関係して少しずつ改善されていくだろう」と語った。市民と観光客の共感を両立させる知恵が求められる。