認知機能に関わる脳の各領域のつながりを訓練で調整して注意力を向上させることに、関西文化学術研究都市の国際電気通信基礎技術研究所(ATR、京都府精華町)などが7日までに人の実験で成功した。精神疾患や認知症の治療法の開発につながる成果という。

 グループは山下歩研修研究員、ATR認知機構研究所の今水寛所長など。

 脳の活動を細かな部位ごとに見ることができる機能的磁気共鳴装置(fMRI)で、注意力の持続や抑制に関わる二つの領域「左一次運動野」「左頭頂外側部」を調べた。

 実験は20代男女30人に行った。安静な状態で頭の中で右手の指を動かす想像を繰り返し、二つの領域の活動が連動しないときに得点が増える。4日間の実験後、連動性は低下し、別の実験で注意力の持続性が向上したことを確かめた。

 連動したとき得点が増える逆の実験では、注意力の持続性が低下した。脳のつながりを調整することで、注意力を向上させたり、低下させることができた。

 これまでの研究で、同様の実験の学習効果は2カ月以上維持されるという。

 脳の各領域のつながり状態は、自閉スペクトラム症(ASD)や統合失調症などの精神疾患や、認知症に関係していると考えられている。ATRは「脳のどのつながりが重要か分かれば、治療法が開発できる可能性がある」とし、臨床応用に向けては「倫理の専門家や医師とともに慎重に進め、社会の理解を得たい」としている。