国民1人当たり10万円を支給する特別定額給付金が多くの世帯に行き渡りつつある中、京都市内の小売店では家電製品や電動自転車などの消費が勢いづく。新型コロナウイルス感染拡大の第1波で外出自粛を余儀なくされた反動の「リベンジ消費」の色合いもにじむ。ただ、足元で広がる感染が一層拡大すれば、回復しつつある個人消費に再びブレーキがかかりかねない。

■外食・アパレルなど効果薄く

 「在宅時間が増え、家族分の給付金を当てにした白物家電の買い替えが増えている」。ビックカメラJR京都駅店(下京区)の家電売り場担当、山口寛之さん(45)は話す。
 長時間使用に適した省エネ性能のエアコンや、買いだめに向いた大型冷蔵庫などが、6月中旬から前年同月比で3割以上伸びているという。
 グループ傘下のコジマを含むビックカメラ全店の6月の売上高速報は、前年同期比9・2%増と4カ月ぶりに上向きに転じた。家電量販店エディオンでも、6月の売上高は前年を11・9%上回った。自宅で料理する機会が増え、オーブンやレンジなども売れ筋という。
 百貨店では高額品が健闘する。大丸京都店(下京区)では7月以降、財布などハイブランドの小物類が動く。給付金効果もあり「10万円前後の商品の売れ行きがいい」(広報)。京都高島屋(同区)では婚礼需要の後ずれもあり、アクセサリー類が堅調だ。
 人との「密」を避ける移動手段として自転車にも人気が集まる。「コンズサイクル」を京都と滋賀で展開する京都自転車販売(東山区)では、6月から電動自転車やクロスバイクが前年同期比で2割以上売れている。担当者は「電車やバス通勤時の人混みを避けるために利用する人も増えている」と言う。
 一方、消費増の効果が及びづらい業種も多い。外出機会の減少で逆風にさらされる観光や外食、アパレルなどに加え、6月の全国の新車販売台数は5月から改善したものの前年から22・9%減だった。

 京都府内の販売店の担当者は「10万円では車の購入にはつながりにくい」と漏らす。給付金需要の恩恵を受けやすいのは、コロナ禍の「巣ごもり」の生活様式に適合していたり、10万円で手軽に手に入ったりする商品やサービスに偏っているのが実情のようだ。
 総務省によると、事業費12・7兆円の特別定額給付金の支給率は7月17日時点で92・5%。6月に支給が始まった京都市でも、7月27日で92・6%に達する。
 給付金のうち消費に回る額はどれくらいか。1・3〜3・2兆円と試算するのは、第一生命経済研究所の熊野英生・首席エコノミストだ。リーマン・ショック後の経済対策として麻生政権が国民一人につき1万2千円を配った定額給付金の事例を踏まえ、今回は10〜25%が消費に充てられるとみる。
 ただ、支給で消費が活発化する時期に感染再拡大のタイミングが重なった。熊野氏は「給付金消費は出ばなをくじかれた形だ。緊急事態宣言解除後の消費の回復ペースが足踏みし始めている」と懸念する。