懐かしのステージに6年ぶりに戻ってきた。さわやかな風、心地よい声援。ギターを軽やかにかき鳴らした。

 コバタヨシタネさん(25)は、京都府京丹波町で1日にあった野外音楽フェス「黒豆ロックフェスティバル」に、京都を拠点とするバンド「地球から2ミリ浮いてる人たち」のギタリストとして出演した。

 「2019年に1人でステージに立った時は19歳。当時より観客が増え、懐かしい顔も見えたので、気持ちよくプレイできた」

 同町生まれ。小学生の頃からピアノを習い、ギターの魅力に吸い寄せられた。ビートルズやザ・ブルーハーツを聞き、「バンドをやりたい」と志したが、仲間が見つからなかった。

 園部高を卒業後、音楽を追い求めて渡米。2年制の大学を卒業間近に新型コロナウイルスの影響で帰国した。

 ただ、それがバンド結成の夢をかなえる転機になった。外出が制限された20年、高校の後輩ら3人で集まって練習を重ねるうちに「地球から−」を結成した。

 ポップながら、どこか田舎の温かさや懐かしさを感じさせるサウンド。代表曲「たそがれは空」のMV(ミュージックビデオ)は、他のメンバーの出身地、南丹市美山町で撮影した。かやぶき屋根、美山小のグラウンド、ススキが映える由良川の風景が、音楽とシンクロする。

 京都や大阪での演奏も多いが、京丹波はじめ、丹波に活動の軸足を置いている。

 「都会はストレスも多い。ここはゆったり時間が流れる。息苦しさがない」

 南丹市美山町のかやぶき屋根の施工会社「美山茅葺(かやぶき)」で昨年7月から働いている。茅を刈ったり、屋根を葺いたりの重労働。それでもカヤがそよぐ音、川のせせらぎを耳にすると、音楽のヒントが浮かぶ。疲れて帰宅しても、ギターを手に音楽と向き合う。

 最近はバンド「サニーデイ・サービス」の曽我部恵一さんとも共演した。7月12日には大阪・西心斎橋のビアバー「iiie」での演奏も待つ。

 「今は何の不自由もない。自然豊かな京丹波に住み、音楽を続けます」と優しく笑った。