さつま芋の栄養を解説

「芋たこなんきん」「芋くりなんきん」などと称され、古くから女性の大好物の筆頭として愛されてきた「さつま芋」。特に冬は、ホクホクの焼き芋やふかし芋、ねっとり甘い干し芋の両方が満喫できる“芋好き女子”にはたまらないシーズンです。この記事では、さつま芋について、調理法によるカロリーの違いや栄養の注目ポイントをご紹介します。

 さつま芋について、その甘さや食べ応えのあるボリューム感から「カロリー高め」「太りやすい」というイメージを持っている人は、少なくないでしょう。実際どうなのでしょうか? さつま芋(焼き芋・蒸し芋・干し芋のパターン)、フランスパン、ごはんの栄養価(100gあたり)を比較してみました。

 同じ100gで比較した場合、焼き芋・蒸し芋は、ごはん、フランスパンよりもカロリー(エネルギー)と糖質が控えめ。干し芋は、フランスパン並みのカロリーと、やや多めの糖質です。干し芋は作る過程で水分が減って軽くなるため、同じ重量の蒸し芋・焼き芋と比べて、多くのさつま芋を食べている計算になり、見かけ上のカロリーと糖質が増えてしまいます。干し芋はカサが減っているぶん、蒸し芋や焼き芋よりも食べすぎてしまう傾向があるため、注意しましょう。間食の適量は、1日200kcal程度(参照:農林水産省webサイト)。おやつに食べる場合、焼き芋・蒸し芋は150gくらいまで、干し芋は75gくらいまでを目安にしましょう(他に間食しない場合の目安です)。

▲加熱しても壊れにくいビタミンC、体内の水分調整を担うカリウムが豊富

さつま芋の注目の栄養素

 エネルギー(カロリー)や糖質以外に、さつま芋に含まれる注目の栄養素が、パンとごはんには少ない(またはほとんど含まれない)ビタミンC、カリウム、カルシウム、食物繊維です。

 さつま芋は、芋類の中でもビタミンCの含有量が高く、加熱に強いのが大きな特徴。さつま芋に含まれるでんぷんによってコーティングされるため、加熱しても壊れにくい性質があります。ビタミンCはコラーゲン生成に不可欠な栄養素。お酒を飲む人やタバコを吸う人、ストレスにさらされている人はビタミンCの消費量が多くなる傾向があるので、効率的に補えるのはありがたいことですね。

 カリウムには摂りすぎた塩分と水分を体外に排出する働きがあり、むくみをケアしてくれます。不足すると、筋力低下や痙攣(けいれん)を起こしやすくなるので、欠乏に気をつけたい必須ミネラルの一つです。

 また、さつま芋はいも類の中でカルシウム含有量が多いことも特徴の一つ。特に皮の部分に多く含まれているので、皮つきのまま調理して食べるとカルシウム供給も兼ねられます。

▲さつま芋を切ったまま放置すると黒ずむのは、ヤラピンやクロロゲン酸によるもの。水にさらすのは、アク抜きと表面のでんぷんを洗い流す意味があります

“腸活”を強力サポート!便秘の改善に役立つ食物繊維&ヤラピン

 食物繊維には、水溶性食物繊維(水に溶けてゼリー状になり便通をスムーズにする)、不溶性食物繊維(水分を吸収して便のカサを増やし腸のぜん動運動を活発にする)の2タイプがあり、さつま芋は両方の食物繊維を含んでいます。また、さつま芋を切ると出てくる白い液「ヤラピン」は、さつま芋特有の成分で、胃の粘膜を保護したり、腸のぜん動運動を促進したりする働きがあり、食物繊維との相乗効果で腸内環境を整えます。さらに、腸で吸収や分解されにくく、便と一緒に排出されるオリゴ糖も含み、トリプル成分で“腸活”をサポートします。

 とはいえ、さつま芋ばかり食べていれば便秘が改善されるとは限りません。さつま芋に含まれる食物繊維は、水溶性植物繊維よりも不溶性食物繊維の方が多く、腸の動き(ぜん動運動)が弱い人が食べすぎると、便の量が増えても排泄がうまくできず、便秘が悪化してしまう可能性も。1つの食材ばかり集中的に食べる“ばっかり食べ”は禁物。水溶性食物繊維が多い果物や海藻なども食べて、2種類の食物繊維をバランスよく摂取するように心がけましょう。また、さつま芋は品種によって水分が少なく、のどにつかえやすい特性もあるので、水分を摂りながら、ゆっくり噛んで食べるようにしてくださいね。

▲アツアツ×ホクホクVS冷めたさつま芋、どちらも捨てがたい!

冷やしたさつま芋のうれしい効果とは?

 なお、さつま芋の糖質は主成分であるでんぷん由来。でんぷんの一部が加熱後に冷やすと「レジスタントスターチ」に変化して増え、大腸まで届いて善玉菌のエサとなり、食物繊維と同じように腸内環境を整えたり、血糖値の上昇を抑えたりする働きが注目されています。焼き芋や蒸し芋は、熱いホクホクを食べてもおいしいですが、冷めてから食べるのも+αの栄養効果が期待できそうですね。

※参考文献:杉田浩一ほか監修『新版 日本食品大事典』医歯薬出版株式会社,2017、久保田紀久枝・森光康次郎編『食品学-食品成分と機能性-』東京化学同人,2017」

(野村ゆき)