カーボンニュートラル社会の実現と、多様化するお客様のニーズに寄り添うクルマづくりを加速させる次世代LEXUS。「もっといいクルマづくり」への想いのもと、はじまった次世代のクルマづくり「NEXT CHAPTER(ネクスト・チャプター)」は「LX」にどう作用したのか? その進化を明らかにする。

カーボンニュートラル社会の実現と、多様化するお客様のニーズに寄り添うクルマづくりを加速させる次世代LEXUS。「もっといいクルマづくり」への想いのもと、はじまった次世代のクルマづくり「NEXT CHAPTER(ネクスト・チャプター)」は「LX」にどう作用したのか? その進化を明らかにする。

もっといい“LEXUSのLX”をつくりたいという想い

NEXT CHAPTERの第2弾として発表されたフラッグシップSUV「LEXUS LX」。2021年10月にワールドプレミアされ、大きな話題を呼んだ。日本でも、この余裕があるサイズのSUVの人気は高い。

開発を指揮したのは、LEXUS車の開発に長年携わってきた横尾貴己チーフエンジニア。振り出しは、「LX470」(1998年発売)におけるディファレンシャルギアの改良。「LX570」(2007年)では、駆動系の部品開発を担当している。スポーツモデル「RC F」のトルクベクタリング(コーナリングをスムーズにする機構)の構想から開発までも手がけた。

新型LXの開発をとりまとめた横尾貴己チーフエンジニア

LXは、LEXUSにおいて長い歴史を持つ。初代がLX450として1996年に発表されて以来、今までに3回のモデルチェンジを経て、今回の4代目に至る。「信頼性」「耐久性」「悪路走破性」を掲げるだけあって、砂漠の中東、ナショナルパークの未舗装路を走る機会の多い北米などで愛されている。

今回は、それに加えて、上質さを向上させるのも大きな目標だったという。LXが高く評価されてきた理由の一つは、上記のように、オフロードでの走破性。もう一つは、余裕があるボディサイズに代表される快適性だ。横尾は、「(新型LXの)開発において掲げた走りのコンセプトは“世界中のどんな道でも楽に・上質に”」だったと語る。

エクステリアは機能性とエレガンスが調和したLEXUSの次世代デザイン言語に沿ってデザインされた

「新しいLXで目指したのは、多様性です。(2021年10月に日本仕様が発売された)2代目LEXUS NXに続く、次世代LEXUS第2弾となる新型LXでは、多様化するお客様のニーズに寄り添うことを目指し、開発を進めました」

標準仕様に加えて、2つの仕様が、新設された。一つは、あらゆる路面において最上級の快適性を提供すると謳われる4座独立仕様の「“EXECUTIVE”(エグゼクティブ)」と、マットグレー塗装のホイールや、ブラック塗装のホイールアーチモール、ダークグレーメタリック塗装を施したフロントグリルなどの専用エクステリアにより、力強い走破性を主張する独自のデザインを実現した「“OFFROAD”(オフロード)」だ。

新型LXで新たに設定された4座独立仕様の“EXECUTIVE”
マットグレー塗装のホイールや、ブラック塗装のホイールアーチモール、ダークグレーメタリック塗装を施した“OFFROAD”

「私が今回のLXのチーフエンジニアを務めることになった際に思ったのは、“LEXUSのLX”を造りたいということでした。LEXUSらしい体験ができる価値を提供したいと考えました」

軽量化や高剛性ボディなどを通じ、クルマの“素性”を刷新

LX600と名づけられた新型は、5100mmの全長と、1885mm*の全高を持つボディを2850mmのホイールベースを持つラダーフレームシャシーに載せている。この寸法はオフロードでの走行性能における「黄金比」だそうで、従来から継承されてきた。

ただし、新しいLXでは、オフロード性能など守るべき性能を引き継ぎつつ、さらに、LEXUS車ならではの価値を盛り込むとしたのが、出発点にあったという。

ボディサイズは先代比で全長がプラス20mm、全幅がプラス10mm、全高はマイナス25mmとなっている。オフロード走行性能において重要な要素となるホイールベースは2850mmと初代から変えていない

「次世代LEXUSのもっといいクルマづくり"NEXT CHAPTER"第1弾として発表したNXは、LEXUSならではの走りの味を意味するLexus Driving Signatureを継承・深化させ、基本性能を徹底的に磨き上げたモデルです。続く新型LXでも、軽量化や高剛性ボディを実現。クルマの“素性”をよくする、つまり基本性能を引き上げることからはじめ、NEXT CHAPTERにふさわしいクルマをつくることを徹頭徹尾目指しました」

操縦安定性や乗り心地でLEXUSならではのクオリティをLXに盛り込むために、開発陣の取り組みは多方面にわたったという。

注目すべき特長は、LXは本格的なオフロード走行ができる、世界でも数少ないラグジュアリーSUVであるということ。悪路での耐久性と、タイヤを路面から離さないためにサスペンションのストロークをできるだけ大きくとれるハシゴ型のフレームを持つ。

新型LXでは「GA-Fプラットフォーム」と名付けられた新開発のラダーフレームを採用。質量の大きなエンジンユニットをより後方に配置するなど車両の前後重心点の最適化が図られた

LEXUSではボディ・オン・フレームと呼ぶこの構造は、優れた走破性をもたらす一方、別体型のキャビン(乗員が乗る部分)をフレームに載せるため、一般的な傾向として、路面によってはキャビンが動いて、それが乗員にブルブルッと感じられてしまう。

それが質感を損なうと考えていた横尾は、開発陣とともに取り組んで、問題を解決。さらに、従来型の油圧式パワーステアリングでは、オンロードでは応答性が鈍いと感じられることもあると、そこも構造を見直した。

新たに採用された3.5L V6ツインターボガソリンエンジン

ボディは約200kgも軽量化に成功。とくに、キャビンの軽量化が低重心化につながり、果たして、気持ちよく操作できる操縦安定性が向上。さらに、小型化したV6ツインターボエンジンを使ってアクセルペダルの操作に対する加速性のよさを追求したり、そのエンジン自体の搭載位置を車両の中心よりにして操縦安定性を高めたりと、開発チームは徹底的に作り込んだ。

街中でも気軽に使える扱いやすさも考慮

乗り心地の快適性を上げるのも、重要なポイントだったという。

「LXは専用のサスペンションシステムを搭載。油圧と窒素ガスとで車高を変化させるAHC(アクティブ・ハイトコントロール・サスペンション)を使いながら、チューニングは、LEXUSを熟知したテストドライバーのLEXUS-TAKUMIの伊藤好章と走りを磨きました」

新しいスピンドルグリルの表現として、7組のフローティングバーで立体形状をつくり、フレームのないシームレスな構成とした。
横一文字のリヤコンビネーションランプやLEXUSの新ロゴもリヤビューにおける次世代LEXUSの特徴となっている
LEXUS最大となる新デザインの22インチホイールが足元を彩る

伊藤は、各車の開発担当者と緊密な連携をとりあって、LEXUS車の乗り味を決めるのが仕事だ。とりわけ、伊藤を中心とするチームは、オンロードの操縦性を中心に、新型LXの乗り味を磨くのに注力したという。

「走りがいい、というと、山岳地帯のワインディングロードをイメージされてしまうかもしれません。しかし、ボディは余裕あるサイズであっても、気軽に買い物にも使える扱いやすさも考慮しました。気持ちよくスッと動くんです。LXに盛り込んだ、どこにでも行ける性能とは、岩場や砂漠だけでなく、街中での取り回しのよさも含まれているんです」

誰でも、どこでも走れる、という新型LX。LEXUSのドライビングシグネチャー(操縦しての個性)とは、一言で言うと、“対話のできるクルマ”。言い換えると、ドライバーの思ったとおりに、クルマが遅れなく反応してくれること。それが実現できたから、余裕あるサイズのLXでも扱いやすい、と横尾は語る。

コックピットもNEXT CHAPTERのクルマづくりによるクルマとドライバーがより直感的につながり、より運転操作に集中できるコックピット思想「Tazuna Concept」に基づいてデザインされた
優れたホールド性と快適な乗り心地を両立させたフロントシート
広々とした空間を誇る上質なリヤシートは高級サルーンのような快適性を提供する

「LEXUSにはLEXUSならではの魅力がなくてはいけません。LEXUSの作業着を着ることで、気持ちを高め、LEXUSを開発するというマインドで臨んでいました。」

前出の伊藤とともに、オフロードの走行性能を担当するTAKUMIの上野和幸、それに、各部の操作性をはじめ、クルマの総合性能を作り込むTAKUMIの尾崎修一らが、開発目標を実現すべく、尽力した。

あらゆる人たちに満足を与える使命を帯びた新型LXは、期待に応える出来だと、横尾貴己は「NEXT CHAPTER」がもたらしたLXの進化について語った。

デザイン部長と4人のチーフエンジニアが語る、LEXUSのNEXT CHAPTERとは?

Photographs by Takayuki Kikuchi