約2年の鬱憤をすべて晴らす猛チャージ 6打差をひっくり返しての通算9勝目

 松山英樹にとって4週連続参戦の最終戦となった「ジェネシス招待」。「疲れは当然ありますが、状態的には悪くないと思います」と語りつつ、「自信を持って打てているホールでは結果は良くなっているので、そういう所が多くなっていけば上位には行けそうな雰囲気はあります」と、自分に対しても期待していたはずだが、それでもここまでのご褒美が来るとは想像していなかったのではないか。今季5戦中、最高位が13位タイという中、2022年1月のソニーオープンinハワイ以来となるツアー通算9勝目は、突然やってきた。

 初日は、波もあったが悪くないスタートだった。1番パー5で205ヤードの2打目をグリーン右のほぼ2オンの位置まで運び、バーディー発進を決めると、7番では花道から10ヤードの2打目をチップイン。10番の短いパー4と11番パー5でも、連続できっちりバーディーを奪った。やや躓いたのは、続く12番から。2日目終了後に「昨日の大きなミスは12番のアプローチくらい」と振り返ったように、グリーン右奥から15ヤードの3打目で思うようにヒット出来ず、グリーンの傾斜によりボールが元の場所近辺まで戻ってきてダブルボギー。13番でも、2mのパーパットが入らない。ただ、18番でお返し出来たことにより、少しは気分も上向いたことだろう。158ヤードの2打目を左ピンハイ2mにつけ、わずかに右に曲がるラインも読み切った。2アンダーの15位タイで、首位との差は5打だ。

 2日目は、フェアウェイキープ数が大きく減少(初日11ホールに対し、5ホール)した点などに不満が残ったようだが、それでも初日以上のスコアでまとめてみせた。1番パー5では4m強のわずかに右に曲がるラインを沈めて、2日連続のバーディー発進。2番では、花道から11ヤードの3打目で、初日の7番に続くチップインも決めた。スコアを落としたのは8番のボギーのみで、圧巻は後半の11番パー5だ。本人は「ラッキー」と表現したが、251ヤードの2打目をピン左手前1.5mに運んでのイーグルで、この日のスコアを3アンダーに引き上げた。通算5アンダーで、トップとは8打差の9位タイ。2日目を一桁順位で通過したのは、昨年のメモリアル・トーナメント以来だ。

 ムービングデーも、フェアウェイキープ率50%で、ショットの感触は「良くなかったです」という自己評価となり、パットでも多くのチャンスをものに出来ず、「途中なかなか入ってくれなかったのでもどかしかった」と明かしたが、それでも2日目同様にスコアをきっちり伸ばした。最初のバーディーは2番。カップ右6.5mからのパットを、最後の一転がりでねじ込んだ。6番パー3では、1打目をピン筋に飛ばして手前2mにつけ、2つ目のバーディー。14番パー3では、この日唯一のボギーも、上がり2ホールで見事な挽回も見せた。17番パー5では右ラフ98ヤードからの3打目を3mにつけ、18番では7m強の左に曲がるラインを強めのタッチで沈めて連続バーディーフィニッシュ。首位と6打差の通算8アンダー、7位タイで迎える最終日へ、「久々にトップ10以内でスタートするので、しっかり伸ばして少しでも上に近づけるように頑張りたいなと思います」と意気込んだ。

 最後の18ホールは、ここ2年ほどの鬱憤をすべて晴らすような展開が待っていた。まさに、松山劇場だった。1番のパー5で38ヤードのアプローチをピタリと寄せ、2番ではグリーン右7ヤードから今大会3つ目のチップインを決めるなど、3連続バーディーでスタートすると、10番からの3ホールでも、12mのロングパットを沈めた12番を含めて3連続バーディー。しかし、松山のチャージはこれで終わりではなかった。15番からの3度目の3連続バーディーが、もっとも強烈だった。15番で「打った瞬間、完璧だった」という184ヤードの2打目がベタピンにつくと、16番パー3でもティーショットがカップからすぐの右横について、2連続のタップイン。1打目を打った後の松山のニヤリとした顔が印象的だった。さらに17番パー5では、グリーン奥のラフから21ヤードの3打目が1m弱。ボギーフリーの9アンダーをマークし、スタート時の6打差をひっくり返しただけでなく、終わってみれば通算17アンダーで2位と3打もの差までつけていた。

 「9勝目が出来たので2ケタに乗せたいという気持ちも強いですし、ワールドランキングが下がっていくのを止められたので良かったなと思います(笑)」
優勝インタビューで絶えなかった笑みからは、ここ2年ほどの苦しみと、それを乗り越えた喜びが充分すぎるほど伝わってきたが、またすぐに先を見据える所は松山らしい。
「今週良いプレーが出来たということを自信に変え、マスターズまでまだ時間があると思うので、しっかりと高めていければいいなと思っています。ショットはなかなか思うようなものではなかったので、それを踏まえて明日から頑張りたいなと思います(笑)」


通算スコア:-17
順位:1