Inc.: 近ごろは内向的な人間がこれまでになくもてはやされています。それは、心理学者スーザン・ケイン著のベストセラー『内向型人間の時代 社会を変える静かな人の力』(邦訳:講談社、2013年)のおかげかもしれません。

自分は内向的であると公言することはクールに見えるようになりましたし、1人でいることを好むビル・ゲイツやオバマ前大統領のような超大物に親近感を持つことも流行っています。とはいえ、「シャイ(内気)な人」はいまだに「内向的な人」ほど名誉を回復するに至っていません(ちなみにケイン氏は、内向性とは「静かで落ち着いた環境を好むこと」であり、内気は「批判的な評価を恐れること」と定義しています)。

人づきあいが苦手だったり、人見知りだったりすることは、少々恥ずかしいことだと考えられていますが、それでも多くの人が、自分はシャイだと思っています。成功をおさめた有名人の多くも、マーク・ザッカーバーグからマイケル・ジョーダン、意外なところではキム・カーダシアンまでもが、自分はシャイだと言っているのです。

でも、状況は変わろうとしています。内向的な人たちのように、シャイな人たちにも擁護者が現れたかもしれません。それは、文化史の専門家で『Shrinking Violets』(タイトルは「引っ込み思案の内気な人たち」といった意味)の著者でもあるJoe Moran氏です。自身もシャイだというMoran氏は、同書でシャイな人が世界を変えた例を挙げてほめたたえると同時に、これまであまり考慮されたことのなかった、シャイな性格の長所を掘り起こしています。

BBCが同書についてMoran氏にインタビューを行った記事は大変興味深く、多岐にわたる内容です。その中でMoran氏は、シャイな人が生来持つ苦労を認めながらも、人づきあいでそうした悩みを持つ人たちはなんら恥じる必要はなく、自らの性格を受け入れたほうがいいと述べ、その理由をいくつか考察しています。

1.自らを省みるのは良いこと

自らの行動と、それがどう受けとめられたのか?を意識することは、社会的状況によってはマイナスになる場合もあるかもしれませんが、全体的に考えれば、そうした注意を払って自分を評価しようとする傾向は有用だ、とMoran氏は力説しています。同氏は例として、進化論を唱えた生物学者のチャールズ・ダーウィンを挙げています。

シャイな性格について話すなら、ダーウィンが提唱した『自己注意』(他者が自分の外見や行動に与える評価に対して反応すること)の能力について話さないわけにはいかないと思います。私たちは自分自身について考え、自らを振り返り、自分のことを考えている人がほかにいる可能性を自覚できます。

言い換えれば、自らを振り返り、細かいところまで注意を払う能力は、人が大勢いるパーティーなどに行くとストレスを生みますが、それはまた、仕事において大きなことを成し遂げる原動力となり得る、と言えるかもしれません。

2.文化にも問題がある

シャイであることはどんな文化でも問題だとされているわけではない、とMoran氏は指摘します。用心深いこと、内省的であること、人を不快な気持ちにさせたがらないことなど、私たちが「シャイ」だと考える特性をずっと肯定的にとらえている文化もあります。つまり、自己主張の強いアメリカで人づきあいに悩んでいるとしても、その原因の少なくとも一部は、アメリカという国の文化にあるのであって、あなた自身にあるわけではないのです。BBCの記事では、シャイな性格をほめたたえるフィンランドのことわざを多く挙げています。たとえば、「たったひと言でも、たくさんの問題を生むには十分だ」や「吠えている犬は野ウサギを捕まえられない」は要点を突いています。

フィンランドに行けば、礼儀は異なります。黙って会話を聞くことで、はるかに好印象を与えられるのです。

とMoran氏は話しています。

3.シャイな性格が創造性を生む

シャイな人は往々にして、自分の知識や個性をその場ですぐにはフルに発揮できません。そのため、多くの人が後になってから文章や音楽、その他の芸術的な形式で自己を十分に表現しようとします。

私が同書で取り上げている著作や芸術の多くは、話し言葉や面と向かった会話では完全に表現できないか、まったく伝わらないという感覚から生まれたようなものです。それだけが芸術や文学を生み出す原動力だとは言いませんが、どのように人にインスピレーションを与え得るのかがわかります。

シャイな皆様、あなたの感じる「シャイな性格の利点」は何でしょうか?

3 Reasons to Celebrate Your Shyness | Inc.

Image: Yulyazolotko/Shutterstock.com

Source: BBC

Reference: Inc.1, 2, 3, 4, Amazon1, 2, Fast Company, HuffPost, 日本家政学会誌