感情について考えるための新しいアプローチは、この時代の経営幹部が必要としているものかもしれません。

以前は知能指数重視だったリーダーシップですが、今では心の知能指数(EQ)が必須であることがわかっています。

なぜ仕事にEQが大切なのか?

IQ(知能指数)が、論理的推論、冷静さ、技術的ノウハウなどの属性に焦点を当てているのに対して、EQは、創造性や共感、社交性、コラボレーション能力に焦点を当てています。

EQは、自分の感情を理解して管理する能力だけではなく、まわりの人たちの感情を認識して影響を与える能力も指します。

EQの考え方につながった最初の概念は、1990年にJohn MayerとPeter Saloveyの2人の研究者によって開発され、2004年、心理学者のダニエル・ゴールマンの『ハーバード・ビジネス・レビュー』誌の記事によって広まりました。

これらのスキルは21世紀の優れたリーダーシップを定義するものですが、前述したEQの定義は氷山の一角にすぎません。

私はプロフェッショナル・コーチとして、感情的に共鳴する暮らしとキャリアと企業を作り上げるためにビジネスリーダーや起業者と協働しています。

私のコーチング業務は、人間の動機についての研究から得た30年間の戦略コンサルティングに基づいています。つまり、リーダーが感情の役割を利用して、ビジネス目標の達成に向けて顧客や社員を動機づける方法です。

私の見解ではリーダーシップとはビジョンを実現するために他者を刺激するものであり、何十年にもわたる研究では、感情(論理ではなく)が人を行動させることが示されています。

EQに関する話では、人を行動させる感情ではなく、人を支配するような感情の管理に焦点が当てられがちです。

一瞬のうちに私たちを支配する感情を認識して管理することは重要ですが、熟練したリーダーらは何が人を動かすかを知っており、まず自分自身から実践しています。

3万4000あると言われる人間の感情ですが、ほとんどのものは変えることができます。

要するに、感情は流動的で、その時のコンテキストに大きく依存しているということです。

ですが、現在のEQの議論では見落とされているものがいくつかあります。

それは、動機づけの感情で、意識していない時でさえも私たちの決断を導き、最終的には個人のアイデンティティを定義するものなのです。

変化する感情

変化の可能性がある感情とは刻々と変化する感情であり、恐怖やストレスを感じたり、驚いたり、怒ったりしたときに意思決定能力を支配してしまう可能性があります。

これらの感情は状況に大きく依存しています。

予期しないことが起こった時にはそれがトリガーになり、ある感情が生じて、あなた(またはあなたのチーム)があなたの主なニーズや目標と一致しない決定をすることに至る場合もあります。

変化する感情に立ち向かう方法の1つには、マインドフルネス瞑想があります。これは、シリコンバレーの先駆者が仏教の長年の伝統を活用したために、現代のビジネス用語の一部になりました。

瞑想を実践することで、変化する感情の管理を始めることができます。

瞑想が目指すところは、感じている感情が通り過ぎる前に、その意味を観察して認めて、一時的な感情の犠牲になることを回避することです。

メンタル面のウェルネスが職場における感情に与える影響が認識されるようになって、2020年、メンタルウェルネスアプリのトップ100が生まれ、これは11億ドルの業界になりました。

人=感情ではなく、日常的に感じる感情は波のように満ち引きがあると理解すれば、変化する感情の扱い方を学ぶのはEQに焦点を当てるリーダーにとっての重要な要素です。

これを理解することによって、私たちはいったん止まって熟考する自由を持つことができます。

「確かに私は同僚に不満を感じているけれど、それは反応に過ぎず、自分がどういう人間かを決めるものではありません」と自分に言い聞かせることは、このような考え方の一例でしょう。

動機づけの感情

EQは、単に感情を管理するだけではありません。

個人としての独自のニーズを理解すること、そしてそれらのニーズが満たされたときに自分がどのように感じたいかということも含まれます。

コーチングでは、いつも著者は「なぜ」ではなく「誰が」という質問から始めるようにしています。なぜなら、自己理解によって、自分の個人的な価値観、ビジョン、最も望む目標を達成するために必要な行動が明確になるからです。

元ペプシコCEOのインドラ・ヌーイは、感情がリーダーシップをどのように推進するか、特に人を駆り立てる2つのコアニーズである認められることと目的に関連する感情を理解していました。

彼女は「目的のあるパフォーマンス」という企業使命を発展させました。

これには、社会的・環境的持続可能性と社員の開発が含まれていました。重要なことですが、社員の開発には認めること、つまり社員として、彼らに価値を付与することにフォーカスしていたのです。

また、彼女は上級管理職社員の両親に毎年400通以上の手紙を書きました。これは、個人を認め感謝を伝えるユニークな方法で、社員には謝意を、家族には誇りを感じてもらえるものでした。

それぞれにとって意欲が湧く一握りの感情を受け入れ、それらの感情を使って意思決定を行なえば、私たちはより効果的なリーダーになれるでしょう。

私が行なっているコーチングの練習では、動機づけと前進を促す感情にしっかり支えられている時には変化する感情をより良く管理できていることが感じられるとクライアントから報告されています。

これらの動機づけの感情は「雑音の中のシグナル」となり、感情的な内面世界に秩序を提供して、外界に対してより意図的に行動することができるようになります。

自分にとっての動機づけの感情は何か?

動機づけの感情は、コアニーズが満たされた時自分がどう感じるかというものです。

アブラハム・マズロー、マックス・ニーフなどの思想家や学者によって知られるようになった複数のモデルのおかげで、コアニーズについて話し合い分類するための言葉が与えられました。

公私においてどのように感じたいかを自問しましょう。「幸せ」などの一般的な感情だけでなく、個人的で自分にとって不可欠な感情も考えてください。

人のコアニーズに関連するいくつかの一般的な感情には、安全、自由、つながりがある、自己表現、影響力がある、成長しているなどの感情があります。

自分がいつも抱えている2〜3のトップニーズは何で、どううすればもっと意図的に人生をデザインし、より頻繁にこれらの感情が生じるようにできるかを自問しましょう。

感情を直接コントロールすることはできませんが、『Becoming a Resonant Leader』で著者のマッキー、ボヤツィス、ジョンストンが説明しているように、感情を適切に調整する能力は私たちにはあるのです。

自分が望む状態がわかれば、このスキルを職場に持ち込むことができます。

自分の同僚、顧客、パートナーは誰ですか? 彼らの意欲を起こさせるニーズは自分のものとはどのように異なりますか? 自分との類似点と相違点について、どのような洞察が自分のリーダーシップスタイルに影響を与える可能性がありますか?どうすれば自分と相手とのアラインメントをもっと効果的に作ることができますか?

これが、現在のEQの定義を超えてゆく方法なのです。同僚、社員、パートナーのニーズや感情を認めることがいっそううまくできるようになります。

人を駆り立てるものを確実に活用できるようになり、共通の目標に向けて前進する動きを促すことができるようになります。

自分の動機づけの感情を(変わる感情とともに)理解することで、より意図的にポジティブな職場環境を作ることができます。

職場において感情面のこの有益なワークを進んで行なうなら、その答えが次世代の優れたリーダーを定義することになるでしょう。

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Source: Sage Journals 1, 2, Harvard Business Review 1, 2, Positive Psychology, Training Mag, Quartz, NPR, Toolbox, CNBC, HuffPost

Originally published by Fast Company[原文]

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