Inc.:26歳だった夫が突然この世から去ったとき、とても仕事のことを考えられる状況ではありませんでした。夫を失ってからの何日かは茫然自失の状態で、何も手につきませんでした。会社には、たぶん妹が電話をしてくれて、私がしばらく会社に戻れないことを伝えてくれたのだと思います。

私は臨床心理士として働いていました。ありがたいことに同僚たちはみな、大切な人を失い深い悲しみに沈んでいる人をどう扱えばいいかを熟知し、私が仕事をできる状態ではないことも理解してくれました。が、その一方で、苦しみを抱えた患者たちが私の帰りを待ってもいました。

受付係が、私に入っていた翌月の予約をすべてキャンセルしてくれました。患者たちには、私の家族に緊急事態が発生し、オフィスにいつ戻れるかはまだわからないと伝えられたそうです。

2、3日後に、上司であるスーパーバイザーが電話をくれました。彼女は、必要なことがあれば何でもすると言ってくれ、同僚たちも同様だ、と伝えてくれました。また彼女は、同僚たちが葬儀に出席してもかまわないか、それとも、仕事とプライベートは分けておきたいか、と尋ねてくれました。

私は、同僚の誰が来てくれてもかまわない、彼らの心遣いに感謝しますと伝えました。同僚の多くが葬儀に出席してくれました。欠席だった人たちも、食べ物やカード、花を贈ってくれたり、親切な言葉をかけてくれました。

職場への復帰

短期障害休業手当があったので、私は数カ月間、休職できました。復帰できるようになるまで、ゆっくり時間をかけられたのはとてもよかったと思っています。

人生がひっくり返ってしまった当初は、とてもセラピストとして働ける状態ではありませんでした。でも、数ヶ月経つうちに、心の痛みこそは消えませんでしたが、新しい現実を受け入れはじめ、友人や家族とも時間を過ごせるようになっていきました。

職場に復帰する1週間前、スーパーバイザーが再度電話をくれました。彼女は、私がスムーズに復帰するために何かできることはあるか、と尋ねてくれました。

また、彼女は率直にこう聞いてもくれました。「家族の不幸について、オフィスで話題にされたり、心境を尋ねられたりしてもかまいませんか?」こうやって、私がどうしてもらいたいかを尋ねてくれたことが、一番ありがたかったです。

私は、同僚たちから心境を尋ねられてもかまわないと答えました。なにしろ、彼らは大切な人を失った者の悲しみをよく理解しているセラピストなのですから。でも、勤務時間中は、そのことについて触れないようにしてほしいと伝えました。

復帰後の私のスケジュールは1日中、予約で一杯でした。同僚たちもみんな予約を抱えていました。私は、患者たちに対応する間のわずか2分間の会話ではとても助けにはならないと思い、さらには、喪失感と悲しみが呼び起こされてしまい、患者たちをうまくサポートできないかもしれない、とも思いました。

私は仕事に復帰する日を変えてくれるように頼み、それから、その日は患者の予約を入れないでほしいと頼みました。溜まったメールを処理し、同僚たちとゆっくりと言葉を交わす1日にしたかったのです。そのほうがスムーズに復帰できると考えました。

こうしたことを話し合った後、スーパーバイザーは同僚たちにメールを送りました。それは、私がいつ職場に戻るか、どうすることが私への最良のサポートになるかを伝えるものでした。

26歳で夫を亡くすのは大変なことでしたが、スーパーバイザーや同僚たちのおかげで、可能なかぎりスムーズに、職場に復帰することができました。彼らのサポートに心から感謝しています。

大切な人を失う体験は人それぞれにユニークなもの

仕事をすることで深い悲しみから一時的に逃れられる人もいれば、逆に喪失感がより一層呼び起こされてしまう人もいます。ある人には助けになったことが、ほかの人には役に立たないかもしれません。

Facebookで広くシェアされた投稿のなかで、同社の最高執行責任者(COO)のシェリル・サンドバーグさんは、夫を亡くした後の彼女の深い悲しみが、「部屋の中の象(皆が気付かないふりをしていること)」のようなものになっていたと語っています。彼女は同僚たちに、遠慮せずにオープンに話してほしいと頼みました。

彼女にとってはそうすることが助けになりましたが、ほかの人たち(私を含めて)にとっては、勤務中に、大切な人を亡くした体験を話題にすることは耐え難いことかもしれません。

リーダーが、深い悲しみを抱えた部下をサポートする最善の方法の1つは、「あなたをサポートするために何ができますか?」と尋ねてあげることです。

悲しみにもがいている人から、明確な答えがなくても驚いてはいけません。何が助けとなるのか、何が心を一層傷つけるのか、前もって予測するのは簡単ではないからです。

とはいえ、どうすればいいか尋ねてあげることで、深い悲しみに暮れている人に、コントロールの手段を与えられるのです。すべてをコントロールできなくなってしまったと感じている当人にとって、それはありがたいことであり、必要なことでもあります。

そして、その後もフォローアップミーティングを設定して、当人のニーズが変わっていないかを確認してあげてください。先月助けになったことが、今月は助けにならないこともあります。

あなたの組織においても、多くの人がキャリアのどこかで、大切な人を失い、深い悲しみに沈む体験をすることになると思います。固定したルールを決める必要はありません。ひとりひとりの固有のニーズに合ったサポートをしてあげてください。

After My Husband Died, There Was One Thing My Boss Did That Made the Return to Work Much Easier|Inc.

Image: Jan Faukner/Shutterstock.com

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